[携帯モード] [URL送信]
◆普通じゃつまらない(A)



全校生徒が体育館に集まって生徒会長の話を聞く、

なんて事はどこの学校もやることで、この氷帝学園も例外ではない。








「眠い…」

どうでもいい生徒会長の話など小守歌にしかならない。
名前と眠気との戦いは、



眠気が勝利した。

人間、欲求には勝てませんからね。



しかしそんな名前の睡眠も長くは続かなかったのだ…。








人が気持ち良く眠りに落ちてたってのになんか騒がしい…

何、何なの!?
うるさいっつーの!



あまりの騒がしさに不思議に思った名前は目をゆっくり開けた。



「なっ…?」








何故かこちらを見ている全校生徒…

訳がわからず辺りを見渡すと前の席の岳人と友達が二人揃ってこちらに向かって合掌していた。


だから何…

とりあえず何でこんな状況になったのか誰か説明プリーズ!





「おい」



スピーカーを通して色気ありまくりの美声が響き渡る。全校生徒の視線がステージに向き、名前はこんな声を出す奴はアイツしかいない、と思いそこには予想通りの人物が立っていた。

ステージにいたのは跡部景吾。

そして跡部はニヤリと笑った…



「名字名前、話は聞いていたか?」





話…?

って生徒会長の話?
もしかして寝てるのバレてたのかしら

でもそこで「寝てましたー」なんて言ったらいい笑いものだ。





「は、はぁ…」





コクリと頷いた瞬間、








ワアアーッと会場中に歓声と悲鳴の声が響き渡った――。





だから何なのよ!

『跡部の話も聞かずに寝るなんてすげぇええ!』ってこと?
バレてんの?

それよりも女の子の睨みが恐いんですけど…跡部の話聞いてないだけで?





結局何があったのか解らないまま跡部はステージ裏に入ってしまい、全校集会は終了した。





しかし教室に帰るときもジロジロと見られ、おどおどしてしまう私…

これも全部アイツのせいだ!
後で覚えとけよ!?








とは思ったものの実行に移せず授業まであと15分

跡部は別のクラス


聞きに行く時間はあるけれど、行ったところであの跡部が教えてくれるはずがない。聞いてなかったのかアーン?と言われるのはまず間違いない!



向かった先は一番後ろの席。

「ねーガックン、さっき跡部何言ったの?」



そう問い掛けると、目を見開いた。

「お前聞いたんじゃなかったのかよ?」
「実は寝てました」
「……」

テヘッと舌を出し可愛らしく言ったのが原因か、絶句されてしまい名前はムスッと拗ねている。
しかし岳人が絶句したのはそれが原因ではなかった…。

全く気付かなかったが、先程から教室がキャーキャー騒がしい上に何だか背中から異様なオーラを感じる。ということは……



「名前」



跡部景吾が来たということだ。








「俺様の言葉は聞いていたな?」
「〜♪」

口笛を吹きながら窓の外を見つめるが、跡部はその間に割り込むように立ちはだかった。


「聞いていたよなぁ?」
「……き、」
「アーン?」



「聞いてませんでした!」

胸を張り跡部を見下すように背中を反らせると、その言動が気に入らなかったのか跡部の額に青筋が入った。

「てめっ生徒会長の言葉くらい聞いてろ!」
「だって眠かったんだもん」
「まぁ寝てたことぐらいお見通しだがな」
「はいはい」

めんどくさそうにそう返事をすると「チッ」と声が聞こえた。



…舌打ちしやがったな、コイツ

しかしなぁ、性格は問題ありまくりだけどやっぱ騒ぐだけはあるよ
カッコイイもん





「アーン?何だよ」

名前の視線が気になったのか僅かに眉を上げる跡部。



「まあまあカッコイイかなって」
「何だその微妙な評価は」
「性格分マイナス」
「てめぇ…」

低く唸るように言う時は本気で怒っている。名前は一瞬ヤバイと感じたが、いつもの跡部とは様子が違った。



「フッ…まぁいい」

特に怒ることもせず背を向けた跡部を見てやっと帰るのかと一安心。
しかし去り際に衝撃の一言を残して行った。





「お前はもう俺様のモノだ」





「…………は?」

何言ってんのこの坊ちゃま
ついに頭沸いたのかしら?

あ、いつもか



結局反論する前に行ってしまったので真相は謎のままだ。





辺りは嵐が去ったかのように静まっていた。跡部が教室から出ていった為である。
名前は謎の真相を調べるベく、ある人物へと問い掛けた。


「ガックン」
「お前も大変だな…」
「まぁね…ところで体育館で跡部が言ったことって何?」
「…お前多分怒ると思うぜ?」

岳人は恐る恐る先程の出来事を語り出した――。








生徒会長の話をするべく跡部はステージに出る。その瞬間、女子生徒の歓声が体育館中にうるさいくらいに響いた。

そして跡部がステージ中央に立つとその歓声は静寂へと変わっていった。





「俺様から一言、言っておきたいことがある」

跡部の美声が響き全員聞いているのかと全校生徒を見渡すと、

堂々と寝ている物が一名。


それを確認し、小さく鼻で笑うと跡部は言葉を続けた。





「3年D組の名字名前は俺様の女だ!手出すんじゃねぇぞ」








「それからお前が起きた」
「……」
「付き合ってんのか?」
「んなわけないだろおお!!」
「んな必死に…
「なるわっ!ちょっと行ってくる!」

ドアを力強く閉めた名前は跡部のクラスへ向かうために全力で走っていった。



「跡部も普通に告りゃいいのに…」

その言葉を聞くものは誰もいない。








「跡部!」

勢い良く開けられたドアにクラスの視線は集中する。興味本意ならまだしも殆どが嫉妬の視線。痛い痛い。
しかしそんなものに臆することなく跡部の元へ向かった。


「さっき会ったばっかだってのに俺様が恋しくなったのか?」
「寝言は寝て言え」
「どうした?眉間に皺がよってるぜ」


いつも眉間に皺寄せてる奴に言われたくないんだけどなっ!
という言葉は飲み込んでおく。


「アンタの女になった覚え無いんですけど?」

机をバンッと叩いて抗議するが跡部は当然の如くサラッと言った。





「お前が俺様に惚れた時だろ」
「いつだ」







告白の方法は


普通じゃつまらない

(かもしれないけど!限度を知れ!)
(アーン?)
(まずは相手の想いを聞きましょう)
(俺はお前が好きだ)
(そう、こういう風に…ってえぇえ!?)
(顔真っ赤だぜ?)
(……………跡部ずるい…)
(『景吾』だろ?)


――――――――――
最後にラブラブ書くのが好き!




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!