ひみつの跡部ちゃん（A）
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン…」
アイツの前では男の子
パチンと指鳴らし
それは何
それは鏡
鏡の中からアンアンアーン？
美技の帝王が現われたアンアンアーン？
それは誰
それはひみつひみつひみつ
ひみつの跡部ちゃん
*
部室には鏡を持った跡部
そしてこっそり覗いている名前、宍戸、鳳、岳人
「ホントだって！確かにアイツ言ったんだぜ！？」
「うっそだぁー」
岳人の言ったことを信用できない名前。
一体どんな話なのか…
「だから本っっっ当に跡部が”テクマクマヤコン”って言ったんだって！」
「あの跡部が言うはずないって」
「そうですよ、あの跡部さんですよ？」
「そーだそーだクリームソーダ」
「名前つまんねぇ。だったら見てみろよ！」
たいして面白くもない冗談をサラッと流した岳人にダブルス１コンビは拍手を送る。
ただ一人名前だけが面白くなさそうな顔をしているが、岳人の言う通り部屋の中を覗いてみた…
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン…」
「どどどどーしよ！あああ跡部が！アホベがっ…！」
「な？な？ホントだろ？」
「あの跡部先輩が…」
「ひみつのアッ●ちゃん…だよな？」
宍戸の言う『ひみつの●ッコちゃん』とは…？
少女漫画､およびそれを原作としたテレビアニメである。
なんでも望むものに変身できる魔法のコンパクトを鏡の精からもらった少女アッコちゃんが、コンパクトの力を使って変身して人助けをするコメディー。
女の子が憧れの職業に変身するという、変身願望を満たす要素は後の魔法少女もののスタンダードとなり、大きな影響を残した。（Wikipediaより）
ちなみに『テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、●●になぁ〜れ！』とコンパクトを開き唱えると変身するのだ。
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン…」
まだ言い続ける跡部を余所にコートで丸く円になって会議をする４人は他から見ればかなり怪しい。
「跡部が壊れた…」
「一体どうしたんでしょうね？」
「朝は普通だったのにな」
「変身とかするのかな？」
一人目を輝かせている名前。
その時、彼らの頭の中はこんな感じになっていました。
鳳思考『幸村に変身したら…』
「ゴホ…何で……ッ俺様がこんなマズイ飯をゴホッ…食わなきゃ…ならねぇんだよ…！ゴホゴホッ」
変身したら病気は反映されないのでは…？
岳人思考『榊に変身したら…』
「名前をマネージャーにして良かったぜ…」
「あ、あたしの体裁が危ないわ！」
榊が更に美化されてキモイ。
宍戸思考『手塚に変身したら…』
手塚の跡部「テメェ等グラウンド100周だ！」
横暴さが増した気がする…
名前思考『樺地に変身したら…』
「アーン？人の命令なんか聞けるか」
いつも命令してんのはアンタだよ！
「変身…してほしくないですね…」
「そうだな…」
「変身しても跡部は跡部だからな…」
「俺様度は変わらない…と」
跡部に何があったのか聞かないのか、それとも聞けないのか。
どうするわけでもなく、ただただいろんなキャラに変身する跡部を想像する４人であった…。
「自分ら何やっとるん？」
そんな彼らに声をかけたのは氷帝の天才！忍足侑士！
「忍足〜…跡部が変だよぅ…」
「いつもやん」
「そうなんですけど、今日はいつも以上に変なんですよ」
「…サラリと酷いこと言ってねーか？」
「侑士！とりあえず来てみろ！」
４人に連れられ忍足は部室のドアから中を覗いた。
「ぶあっはははは！！アイツ本気で真に受けとる！はっ…腹痛っ…！はひっ…」
急に笑い出した忍足。そして目を丸くする４人。
何かを知っているのでしょうか？
「侑士、何か知ってるのか？」
「真に受けるとか言ってましたけど…」
「ククッ…あんなぁ…」
笑いを堪えながら忍足は説明をしようとしたので４人は顔を近づけた。
しかし突然ドアが開きちょうどドアの目の前にいた忍足の体は吹っ飛んでいった…。
「何やってんだ？」
「え…いや、その…」
さすがにあの光景を覗いてました、とは言えず４人は口ごもる。
そこへ先程吹き飛ばされた忍足が戻ってくると跡部の肩をポンッと叩いた。
「跡部ホンマに信じとったん？」
「あ？」
「鏡見ながら『テクマクマヤコン』言うとかっこ良くなる言うたけど、あれ嘘やで？」
「何っ!?」
「跡部…」
「信じるの跡部さんくらいですね…」
「激ダサだな」
「バッカだなぁ〜」
そして散々馬鹿にされた跡部はその後の部活で怒りを発散し、部員達は多大な被害を受けたそうだ…。
次の日――
「名前、鏡見ながら『テクマクマヤコン』っていうと美しくなるらしいぜ！試してみろよ？」
「……」
跡部はやっぱり天然なのでした。
それはひみつひみつひみつ
ひみつの跡部ちゃん
（それ誰から聞いたの？）
（忍足だ）
（………アンタ馬鹿だよ）
（アーン？）
――――――――――
≫2400hit ココア様へ
わかってる！跡部はアホの子ってわかってるから！
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