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◆今日は何の日?(A)




空は快晴

桜の花がちらほら開いてきた日のことでした…








「ったく跡部の奴まだかよ」

机に頬杖をつき不機嫌気味の宍戸は早くテニスをしたいのかウズウズしている様子。

「監督に呼ばれて何分経ったの?」
「30分だな」
「やけに長いですねー」
「監督に気に入られてるからじゃねぇ?」

時計を見て答えた名前は岳人の言葉を聞き眉間に皺を寄せた。
監督からの呼び出しは何があるかわからないのだ。


「跡部ならさっき女の子と一緒に裏庭行ったよ〜」




「ジロちゃん起きてるなんて珍しいね」
「ツッコミ所そこちゃうわ!」
「どうすんだ?アイツ来ないと練習できねーじゃん」

ジローの言葉は気にならないのかスルーしたまま忍足以外の部員はこのあとの部活の心配をしている。

「…よし!名前見に行くで」
「一人で行けば?」
「名前が行かへんと意味な…
「へ?」
「い、いや…名前気にならへんの?」

何故か焦っている忍足は気になるが、跡部への告白現場は何度も目撃しているので特に気にはならないのだ。

「見慣れたし」

無駄に高級感のある跡部専用ソファから動こうとしない名前。
体育座りの為パンツが見えそうです。


「でも跡部来ねぇと練習できねぇし…」
「自主トレでいいじゃん
「跡部先輩迎えに行かないと…」
「そんなジロちゃんじゃあるまいし」

岳人と鳳の誘い文句にも乗らない名前は溜め息をつき「そのうち帰ってくるでしょ」と机の上の雑誌を広げていた。



「名前、跡部の弱み握れるかもしれへんよ?」

しかし忍足の言葉にピクッと眉が動く。

「………弱み?」
「そやそや、もしそこで女からのビンタを喰らって…
「そんなもん弱みにならないでしょ」
「なるかもしれへんから行くで!」
「え!?ち、ちょっと!」

全く動く気がない名前だったが忍足が腕を掴み無理矢理連れていった為、残るレギュラー陣も裏庭へと向かったのだった。


レギュラー陣は何かを隠しているようです……。














裏庭に着いたメンバー達。そして名前はというと……


「侑士押すなよ〜」
「ちゃうて!ジローが乗っかってきてん!」
「だってチョタの頭が邪魔で見えないんだもん〜」
「じゃあ宍戸先輩の前にいれば良かったじゃないですか?」
「ところで名前はどこ行ったんだよ?」

「…ねむ」


レギュラー陣のもっともっと後ろの方で大きな口を開けながら欠伸していました。





「跡部先輩!好きです!付き合って下さい」





下級生の子だろうか。随分と可愛らしい女の子が跡部に告白をしている。


「名前見よーや」
「名前先輩!女の子告白しましたよ!」
「跡部は何て答えるんだろうなぁ?名前ー」

わざとらしく大声で話しかけてくる3人を無視し、四ツ葉のクローバーを探している名前。





「いいぜ」





女子生徒の告白にそう返事を返した跡部。

名前の反応を見ようと5人は後ろを振り向く……が、


「ん?何?」

全く気にしていない様子



「何って…跡部に彼女が出来たんだぜ?」
「ん、おめでと」
「それだけ!?」

宍戸に淡々と言葉を返し、今度は花を採って花びらを一枚一枚毟っている。

「他に何を言えばいいの?」
「名前先輩は何も思わないんですか?」
「いや、だから何を?」
「名前はあの子に跡部取られて悔しくない?」


どうしてこの子はたまに核心をつくのだろうか…


「別に?」

そうニコリと返せば遠くの方から怒りのオーラを放ちながら歩いてくる男が見えた。





「お前…俺が他の女と付き合ってもいいのかよ!?」
「どうぞ」
「なっ!テメェは俺じゃねぇと駄目だろうが!」
「意味わからん」

行動と発言が支離滅裂な跡部に対し、やはり淡々と言葉を返す名前。
しかし次の発言で状況は一転した…。








「あたし忍足と付き合う」





突然の発言にその場にいた全員が目を丸くする。

「どーゆーことだよ侑士!」
「忍足先輩…」
「俺達の努力って…」
「折角ここまで連れてきたのにね〜?」
「忍足…テメェ…!」

胸倉を掴み鬼をも殺せそうな形相で忍足を睨み付ける。
いきなりの爆弾発言に忍足自身も驚いているのが状況が把握できていないようだ。


「ちょ…ちょ待てや!話を聞かんかい!」
「惚気話か!?アァン!」
「名前〜…」

堪らず名前に助けを求めるが、



「あははははは!!」


当の本人は腹を抱えて笑っていたのだった…。



「笑ってる場合ちゃうて!助けてや!」
「しょうがないね〜跡部」
「あ?」

スカートについた砂を掃いながら立ち上がると名前は跡部の目の前に立ちニコリと微笑んだ。



「うっそ」





「は…?」

跡部の顔が一気に崩れそんな跡部の顔を見て名前は笑い出したい衝動をなんとか堪えていた。

「今日4月1日、エイプリルフ〜ル〜♪」
「それは…知ってるけどよ…」

まだ納得いかないのかいろいろ考え中の跡部。
エイプリルフールなのは全員知っていた為、跡部の練った計画を次々と語り出したのは名前をここまで連れて来た5人だった。


「そうだぜ、名前を騙すって跡部が言うから助っ人の女の子探して」
「名前をここまで連れて来て」
「跡部先輩が告白されてるとこを見させて」
「嫉妬させようってことやな。そのあと嘘って言うても後の祭りやっちゅーことや」



「…でも、その計画を陰で聞いちゃったから跡部を驚すことができたんだな♪」
「な…何!?」

つまり名前は始めから全て知っていた。興味がない行動も全て演技だったということだ…。








結局そんな感じの4月1日です。





今日は何の日?

(あの子本気だったのかなぁ)
(さぁな、見た目は良いし考えとくか)
(だっ…ダメ!他の子と付き合うとかダメ!嫌なの)
(やっぱ嫉妬してんじゃねぇか)
(……あたし跡部じゃないとダメだよ)
(あぁ、俺も名前じゃねぇと駄目だな)


――――――――――
結局ラブラブかーい




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