決闘!豆合戦!(A)
「んふふふふ〜」
こんにちは名前です!
今日はとっても機嫌が良いんです。
え?
なんでかって?
「…今日はやけに上機嫌だな」
「うふっ気になる?宍戸」
「悪い意味で気になるけど…」
「変な笑い方すんなよ名前〜キショ…
ドゴッ
岳人の鳩尾に名前さんの蹴りが入る。
吹き飛ばされた岳人はほっといて、名前は部活の用意をしている宍戸、鳳、日吉の方を向きニンマリと笑顔を見せた。
「一体どうしたんですか?」
「今日は何の日だと思う〜?」
自分のバックを取り出し何かを捜す名前。
「今日?なんかあったか?」
「2月3日ですよね…」
「誰かの誕生日じゃねー?」
「………節分。」
「そう!ヒヨ正解ッ!」
日吉を指差しフフンと見下している名前だが、実際自分より低いのは岳人だけなので見下せてはいないのだ。
「節分だから何で名前が喜ぶんだ?」
「そうですよね」
「豆が食いたいだけとか!」
「有り得ますね。」
バキッ
ボコッ
岳人、日吉
地に落ちる…
2人が倒れたと同時にタイミングよく部室のドアが開き、その瞬間名前の目が獲物を狙う猛獣のようにドアを睨み付けた。
まだ来ていないメンバーは、
忍足と跡部――
「きたぁああああ!!!!」
「名前!そないに俺に会いたかっ…
「オタクわあーそとぉおおおおーー!!!!」
名前の投げ付けた豆はまるでマシンガンの如く物凄いスピードで忍足の元へ飛んでいった…。
「うぎゃあぁぁ!!!」
床へと倒れ込む忍足。
「まず一人っ!」
そして仁王立ちしてニヤリと笑う名前…
「お…忍足先輩大丈夫ですか…!?」
「白目向いてるぜ…」
「侑士ーー!!」
「豆投げただけなのに…」
4人は忍足の元へ恐る恐る近づき顔を除いていると、新たな人物が扉を叩き全員の視線が扉に向いた。
「跡部はいるか?」
『監督!』
「変態わあぁあーーそとぉおおおおーーー!!!!!!」
名前の投げ付けた豆は鳳の放つスカッドサーブよりも早いスピードで榊の元へ飛んでいった…。
「ぬわあぁぁぁ!!」
「逝ってよし!」
榊に向けビシッと『いってよし』ポーズを真似る。
「名前、コレ(榊)どうすんだ?」
「捨てろ」
『イエッサー』
そして榊は部室の外に捨てられた…。
「跡部はまだなの!?」
「ええやんか、俺とコス大会し…
「オタクわあああーー!そとおおぉおーーー!!!」
「ぎゃああああ!!」
そして忍足も部室の外に捨てられた。
数分後――
部室に近づいてくる影が二つ
「何だアレは…」
部室前に2つの物体…
跡部は顔をしかめその物体を凝視する。眉間に皺が寄っているのは近眼なわけではない。
「…死体か」
そう判断した跡部は屍を越えるべく謎の物体を何事もなかったかのように踏み越えて行った。
「おい!部活始め…
「鬼部長わあああーー!そとおおおぉおーー!!!」
そのスピードは前の2人よりも格段と速くなっていた…。
「……フッ」
ビシッビシッ
「なっ…!?」
しかし跡部には当たらず豆が当たった先は…
「助かったぜ、樺地」
「ウス」
樺地だった。
しかし邪魔されて黙っている名前ではない。間に入った樺地を睨みつけニコリと微笑む……が、その微笑みは笑っていないように見える…。
「次に邪魔したら…わかってるよねぇ?」
「ウ………ウス…」
自分の身を守るため名前に服従する樺地であった。
「かっ…樺地!」
「フフッ…」
「テメェは鬼かッ!?」
「鬼はアンタだ!!」
その場にいる全員が『どっちもだろ』とツッコミを入れた。
「ってことで!鬼部長わあああーそとおおおー!!」
「甘いぜ、名前」
超人ならば見えるはずもないスピードを跡部はいとも簡単に避けていた。インサイトで豆の軌道を悟っているのだ。
「跡部すげぇ…」
「名前先輩相手に…」
「下剋上だ!」
「あのさ今のうちに帰らねぇ?」
岳人の言葉に跡部と名前を除く全員が振り向きハッと気付き目を合わせた。
「じゃ、俺ら帰るわ」
「先輩達頑張ってください」
「夫婦喧嘩は程々になー」
「いつか下剋上だ…」
今日の部活はやらないだろうと判断した4人はさっさと帰ってしまい部室に残されたのは、帰ったことに気付いていない跡部と名前…
「その豆で忍足と監督を殺ったのか!」
「そうよ!オタクと変態はこの部にいらないもの!」
「確かにな……だが俺はこの部に必要な存在だぜ?」
「アーン?寝言は寝て言え」
「テメッ!!人の台詞パクるんじゃねーよ!」
もはや口喧嘩となっているが、いつもと同じ光景である。そして最後にはいつも跡部が勝つのだ。
「まぁいい…」
跡部はドアの鍵を静かに閉めた…。
「な…何?」
「鬼は鬼同士、仲良くしよーじゃねぇか」
その後どうなったのか気になった岳人がしつこく聞いてきたが何も答えない名前であった――。
決闘!豆合戦!
(っていうかただの痴話喧嘩だろ?)
(ちっ…違うしっ!)
(おい名前、野球部から勧誘来てんぞ)
(へ?なんで?)
(……)
――――――――――
そら勧誘くるわな…
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