間章 ――拝啓、平和島静雄様 やあ、御機嫌よう。君にこうやって手紙を書くのは初めてかな。なんだか照れくさいよ。面と向かうより恥ずかしいものがある。 さて、何から書こうか。これが案外難しいんだ。ペンを持つ前に色々と考えてはみたんだけど、ことさら書きたてるような近況はないのが正直なところだ。 便りのないのが良い便り、ってね。俺は俺で上手くやってる。 むしろ俺は、シズちゃんの方が心配です。 すぐにキレたりしてない? 物を壊したりしてない? いくら俺がいないからって、その辺の公共物に当たったら駄目だよ。君のキレ癖は重傷だからなあ。 でもまあ、わざわざ手紙に書いて説教することでもないか。口うるさいのは君だけで十分だね。 ああ、でも、これだけは念のために言っておくけど、この手紙には絶対に返事を書くように。 すぐにとは言わない。何か月先でも、何年先でもいい。なんなら君がくたばる直前でも。 でも絶対に返事はして欲しい。いい? 約束だよ? さて、本当に書くことがないや。どうしようかな。 最近ちょっと仕事が軌道に乗って来たんだけど、そんなこと君にはどうでもいいだろうからなあ。 ……ああそうだ。そういえば、良いことを思い出した。 ねえシズちゃん、もう知ってるかな。 君はどうせニュースとか見ないだろうから、俺が教えてあげるけどさ。こっちはちょっと面白いことになってる。 実は―― |