◇
仕事も忙しくなって、言葉通りオレは皆瀬と会わなくなった。夕食でたまに皆瀬と皆瀬の奥さんの様子を話す父には目もくれず、黙ってメシを済ませれば急いで中村の家に行っていた。
夜は中村と身体を重ねれば気持ちの靄(モヤ)が晴れた。
どんどん溜まる性欲も発散されたし、何より身体が気持ち良くなれた。
「藤堂さ、」
「ん?」
「コレな、」
「うん、」
ピンク色の粒を渡されて水も飲まずにゴクリ。時間が経てば頭がぼーっとしてチンコが勝手に勃起しちゃう。
媚薬ってのはすげぇ効き目だ。触られなくても身体が熱く火照って、自然にセックスが楽しめる。これはアイツを忘れられるいい薬にもなるなと思った。
「そ、そうっ、ちゃんと、ちゃんと舐めろよぉっ…」
「は、あの藤堂六実が俺相手に足開くなんて…マジで夢みてぇだ。」
「んっ!んっ!ああっ、み…みな、」
『みなせ』と呼びそうになって慌てて自分の口を塞ごうとしたら、怖い顔をした中村にキスされた。
中村の舌が熱く灼けるように蕩けてオレもつられて必死に舌を絡めた。
またあんな奴思い出して。
本当、自分って気持ち悪りぃ。
「んっ、藤堂…」
「こ、こ…来いよ。」
「え?」
「さっさと挿れろぉ、」
懇願する自分も馬鹿みてぇ。
オレは何がしたいんだろう?何度も考えるのはよそうと思っているのに頭の中はアイツの顔でいっぱいだ。
きっとまた、中村に抱かれたら気持ち良くなれるだろうし、必死で自分は身体を動かすんだ。
そんなオレの姿を皆瀬は知らないから、
「くっ、」
「はうッ、あっ!あっ、」
「すっげー気持ちいいわ、藤堂…動くよ。」
ぐちゃぐちゃと突かれすぐ絶頂。薬の威力だろうか、がくがく揺られたチンコは最高に気持ち良くなれた。
それをゆっくり揉み扱く中村の指に動きを合わせてオレは腰を揺さぶり続けた。脳天までぶち抜かれたようにケツん中はすぐ中村で満たされた。
「はッ、んあっ、んあっ、」
「くッ、藤堂っ…藤堂っ、」
「なかむらあっ、もっと、もっと奥に来いよぉっ…」
調子に乗ったオレは横になる中村の上に跨がって機械のように規則正しく腰を動かした。
ハンパない突き上げにグリグリされた前立腺が、当たって擦れて今すぐ射精しちまいそう。
「ああああっ…!!」
「かわいいっ、お前こ、」
――ピンポーン、
と、そこでまさかの来客。
「どうぞ、」
「は、?」
「入っていいよ。」
目の前の中村はオレの身体を反転させ、背面上位で再びピストンを再開した。
オレが向いている方はちょうど玄関ドアで、客が入ってきたらオレの汚い顔も結合部も丸見えになる形。
それを中村は狙ったのか、
「…六実っ、」
「は、…みな、せっ?」
「・・・。」
目の前に立ち尽くしていたのはオレを裏切った大好きな皆瀬春彦だった。
姿をはっきり捉らえたオレは中村から離れようとするが、腰を強く掴まれて最果てにチンコをぶち抜かれたもんだから、ありえないぐらい大きな喘ぎを漏らしてしまう。
「あ、はぁあんっ!」
「…っ、」
「なっ、み、見るな皆瀬!オ、オレをぉ、オレをこれいじょぉ見るんじゃねぇっ!!」
揺れた身体から射精が近づいて、お互いオレらは同時に果てた。
イキ顔も繋がった部分もばっちり瞳に収めた皆瀬は茫然と固まったまま。
気まずい空気が流れてオレは自分の想いを縛り付けていたことに気づいてしまった。
[*Ret][Nex#]
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