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ウェステリアカンパニー存続の危機を忌避しての政略結婚。

海外進出が裏目に出たウェステリアカンパニー。

海外事業の売上は全く伸びず、大赤字。
有名なグッドデザインを狙い、いろいろな製品を開発も開発費が無駄にかかり負の連鎖。

そこに助け舟、パウロニアコーポレーション社長【桐谷 市太郎】が『ウチの娘がお宅の秘書を気に入っていてね、もし良ければお見合いを』と。

皆瀬春彦を大学時代に見ていた【桐谷 亜美】
藤堂六実を大学時代に見ていた【皆瀬 春彦】


歪みは徐々に歪んで。



「お久しぶりです。」

「えっと…すいません、お名前を教えていただけますか?」

「はい、私は桐谷亜美と申します。一大の経営学部で、貴方と同期なんですよ。」



再会に花を咲かせた乙女は、これから多く彼と会えるよう父親に頼んだ。

何も知らない皆瀬は社長に何度も結婚を勧められたが、決して首を立てには振らなかった。



「私には、生まれて初めて好きになった想い人がおります。だから、結婚は出来ません。」

「春彦君、そこをなんとか頼むよ。」

「申し訳ありません。私は決してその人以外は愛せません。ですから、無理に結婚を志願されましても。」

「お願いだっ、ウェステリアカンパニーを…ウェステリアカンパニーを君に救って欲しいんだっ!」



それを聞いて、さらに真実を知った皆瀬はあっさり政略結婚を承諾した。

彼はただ『大切な藤堂六実が永遠に幸せで居られる環境を作る』命を果たしたい一心だった。









父には嘘をついて、食事会なんて洒落た表現の葬式には欠席した。

あの頃のオレも、アイツももう居ない。
オレは寂しさを紛らわすために一人、街をふらついて適当に友達を呼んで夜まで飲んだくれた。



「お前、金髪辞めたんだなー」

「ああっ、コレは社長命令。親父がうっぜーの、金髪はやめなさいって耳タコ出来るほど言うからさ…とりあえず今は栗色で落ち着いてるわ。」

「藤堂、ソレ似合ってねぇよ。チビだからちんちくりんの坊ちゃんみてぇだな。」



懐かしでも無いが、大学時代ずっと一緒に居た【中村 行人】(ナカムラ ユキヒト)を誘っての呑み。

金髪の方が似合ってるってのはオレもそう思う。
栗色にしてからの女評価は結構薄れちまった。

社会人になってすぐこの色にしたから、女性と会う機会も薄れたけど。



「俺も結婚しよっかなー…」

「何さ、いきなり。」

「いや、同じ会社の奴が最近結婚してさ。奥さん無駄に綺麗だったからっ…ちょ、ちょっと羨ましくてな。」



もちろん、皆瀬に羨む要素は無い。オレが羨んでいるのは皆瀬の奥さんの位置だ。

オレが女だったら、絶対皆瀬と結婚してた。皆瀬もそれを望んでいたはずだった。
だけど何の情報も無しにいきなり美人な人と結婚しやがって。アイツのストーカーの異名が聞いて呆れる。



「中村、女居ねぇの?」

「…居ないよ。」

「っんだよ、使えねぇな!オレと久々に会ったんだから女ぐらい作ったり用意しと、

「藤堂、今夜俺の家泊まり来いよ。」



遮った中村の低音がバーの雰囲気を強張らせ、オレはこくんと頷いていた。

酔っ払っているからか、視界もふわふわしていたし、ちょうどいいと思ってホイホイついていった。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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