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黒い椅子に座り込んでいた勒帋に話しかけたさんほうちゃんは見覚えのある僧衣に触れてみます。それはさんほうちゃんのパパが生前気に入って着ていた朱と白の僧衣。大きくなったさんほうちゃんに、パパが着てほしいと望んでいたものと全く一緒で悲しい事件を思い出していました。

話しかけても黙ったまま、強く袖を握りしめ悔しそうな勒帋は振り返りもせず席を立ちます。



「勒帋様!」

「・・・。」

「何故貴方は妖魔を憎み殺めようとしたのですか?貴方は妖(アヤカシ)も人も分け隔てること無く平等に接してらしたと私は以前父から聞いていたのですが、」



さんほうちゃんの呼びかけにクツクツ笑う勒帋はくるりと正面を向き真っすぐ輝くさんほうちゃんの瞳を見つめました。その勒帋の行動に驚いたさんほうちゃんは負けじと心に問い掛けるよう勒帋を見つめ続けます。

勒帋はさんほうちゃんのパパと親友で日々二人は共に居ました。もう一人のお父さんのような温もりをさんほうちゃんははっきり覚えているのです。



「法繚、いや…三蔵法師。お前は大切な父親を同等の妖に奪われた。それなのに彼らの共に天竺へ向かうのだな?」

「はい。」

「そうか、お前は強いな。私はずっと…お前の父を奪った妖が憎くて、悪くてたまらなかったよ。」



顔を覆いながら崩れ落ちた勒帋はさんほうちゃんのパパが死んでから一人でココ、兜率天を守って来た話をし始めました。

本来なら二人でこの理想郷を大きくして二人で仏教を広めて人々を幸せにしたかったらしいのです。



「もしかして勒帋様、貴方…」

「あぁ、その通り。私はお前の父、緑繚(リョクリョウ)を慕っていた。しかし神への冒涜である心を罪と呪い彼から離れたんだ。故意で別れた3年後、最愛の人だと言って緑繚はお前と妻を連れ帰ってきた。すごく哀しくて、ずっと隠していた思いを打ち明けようと会う約束をした日に彼は命を落としてしまったんだ。」



哀しみに暮れ全て話した勒帋はさんほうちゃんに何度も謝りながら泣いていました。それほどパパを思っていたなんて知らなかったさんほうちゃんは崩れた勒帋の頭を撫でます。

優しい言葉をかけて許したさんほうちゃんはパパと勒帋が望んでいる仏教信仰をより広めようと再び決意したのでした。









兜率天にあってさんほうちゃんのパパが建てた僧屋、小さな3つのお部屋で休むことにした一行は人間の姿に戻ったたまちゃんに質問が集中して大混乱が起きました。

なかなかイケメンなたまちゃんをじっくり見つめるもん吉くんはが太郎くんの時と同じようさんほうちゃんが奪われるのではないかと忌避しているようなのです。



「お師匠様!」

「なんですか?」

「今日はもちろん、俺と同じ部屋にしてくださいね!」



カッと笑顔でさんほうちゃんを部屋に連れていくもん吉くん。さんほうちゃんを誰にも渡したくない彼は先に左の部屋へ行きました。

一方、呆れて何も言えないさんほうちゃんはやれやれと言いながらももん吉くんの後についてお部屋に入っていきます。



「何だかんだでさんほうちゃんはもん吉にぞっこんだ、」

「ホントにラブラブだよね。」

「いや。でも二人とも、さんほうちゃんはもん吉だけじゃなくって二人も大好きなんだよ。隣でずっと見ていたから分かるんだ。大切な仲間が出来て、すごく幸せそうな顔してる。」



凜とした顔でさんほうちゃんを見つめていたたまちゃん。瞳は透き通っていてとても綺麗で、その碧い目に魅了されたが太郎くんととん平くんはぼーっとイケメンのたまちゃんを見つめています。

争い事が終わって一安心、さんほうちゃん一行はやっと良い夢を見て眠れそうです。





[*Ret][Nex#]

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