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妖魔と共に旅をしていると三人を紹介したさんほうちゃんですが、洪草は信じ難い顔で一人ひとりを凝視していました。嫌な顔をされて不機嫌な三人はさんほうちゃんを助けた恩人と聞いても“僧侶のくせに妖魔を差別する嫌な人間”として彼をインプットしました。



「す…素敵な仲間だ、な、」

「ど、どうも…」

「へっ、本当にそう思ってんのか?嘘つくのはやめろよな、和尚さん。」



苦笑いで乗り切ったが太郎くんととん平くんと違いあからさま嫌な態度をしてしまったもん吉くん。洪草はまぁまあと許してくれますが、先輩僧侶に無礼だとさんほうちゃんは謝ります。

もん吉くんはさんほうちゃんと仲良しなこと、人間だということ。洪草の何もかもが気に食わないみたいなのです。



「再会して早々悪いのだが、この旅が終わってお前が天竺で経を手にしたら…」

「はいっ、?」

「俺と。俺と二人、一緒に僧院で暮らさないか?」



全て気に食わないもん吉くんにとどめの一発。まだ旅も終わっていないのに、大胆に(遠回しに)さんほうちゃんは洪草からプロポーズ(?)されました。

実は洪草、自身の大きな僧院を二つも所有しているのです。若いのに自身の僧院を持っていることはとってもすごいことです。さんほうちゃんもいつか自分の僧院が欲しいななんて考えています。しかし、まだまだ未熟なさんほうちゃん、もちろん自身の僧院を持つなんて儚い夢です。持たずに一生を終える僧侶もごまんと居ます。



「洪草…」

「あっ、別に今すぐ返事を聞きたいわけじゃないんだ!天竺へ行ってからでも…しばらく経ってからでも。」

「え、えぇ…」



二人一緒に僧院を有名にして人々にお経を与えるのも大切なことです。しかし、さんほうちゃんは“旅が終わった後、仲間のみんなとはどうなってしまうのだろう”と言うことを考えました。

もん吉くんは人に崇められるような存在になることが夢です。たまちゃんは人間に戻るため。が太郎くんも、とん平くんも妖魔という酷く恐ろしいレッテルから脱げ出したいがために旅供になりました。そう考えると最終的に皆、バラバラです。



「さんほうちゃん、」

「んっ?」

「大切なお話なら私達はちょっと外すよ。久しぶりに再会したわけだし、話したい話しもあるだろうからさ、」



気を使って一歩引いたが太郎くんはとん平くんとアイコンタクトをしながら前へ歩き始めました。後少しのところでもう街が見えていたので先に寝床を探しとくと言ってさんほうちゃんと洪草を置いていきます。

なかなか前に進もうとしないもん吉くんを促し、三人は歩みますが物寂しげなもん吉くんの顔を見たさんほうちゃんは何故か胸が苦しくなりました。









柱砂漠の先にある咲都(サクト)に辿り着いた3人の妖魔は荒れ果てた村の景色にビックリしました。かつて夜灯一の、南の都と呼ばれていた面影も無く、殺風景な商店街や廃墟が広がっているだけの死んだ街。身形のみすぼらしい人々が溢れかえっていて、匂いも独特です。

旅中はずっと野宿(もん吉くんの抱き枕はさんほうちゃん)だったので、街に行けばふかふかのベッドで眠ることが出来ると思っていた3人のショックはとても大きいです。



「すいません、この街に宿はありますか?」

「そりゃ、あるわけないな。」

「えっ?」

「咲都は数年前、恐ろしい翼を持った妖魔と牙を持った妖魔に襲撃されたんだ。死者も多く出て、復興もするんだかしないんだか。この街には洪草って言う和尚様のお家ぐらいしか泊まらせてくれるところは無いな。」



何も知らない3人は恐ろしい妖魔の姿を頭の中で想像しました。その妖魔がさんほうちゃんの大切なパパとママの命を奪ったことも分からず。その妖魔にトラウマがあるさんほうちゃんがもしまたその妖魔に出会ってしまったら…そんなことも予測出来ませんでした。





[*Ret][Nex#]

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