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enmity sutra



柱砂漠で多くの妖魔に襲われたさんほうちゃんとさんほうちゃんのパパとママ。パパはさんほうちゃんを守るため翼をもった妖魔に、ママは鋭い牙をもった妖魔に殺されてしまいました。
旅の途中、天竺へ歩んでいたさんほうちゃん一行は柱砂漠にたどり着きました。嫌な記憶しかないさんほうちゃんはため息。怖い妖魔に襲われた思い出を蘇らせてしまいました。



「柱砂漠は恐ろしい妖魔が出る場所で有名なんだって。」

「ん?さんほうちゃん…どうかしましたか?」

「いえっ、大丈夫です。早く旅路を進めましょう…」



ローブで顔を隠すよう前へ進むさんほうちゃんは渇いた砂の上をとぼとぼ歩いて行きました。

修業僧のパパがこの先にある楽園に二人を連れていってくれるはずだった遠い悲しい思い出。パパとママを殺した妖魔が本当はとても恐ろしいさんほうちゃんです。でも、旅供の三人は良い妖魔なので別格と捉えています。



「んぉおー、ッペッペ!お師匠様、口に砂入っちまった!」

「ったく…もん吉は。口を押さえておきなさいっ!」

「んちゅぅっー」

「な、なんですか…」

「お師匠様のチュウで押さえてくださいよっ!」

「・・・。」



と言うように妖魔らしくないもん吉くんに振り回されるさんほうちゃん。最近、心がどうももどかしいのです。

エッチなもん吉くんに撫でられたり抱きしめられたりすると胸がドキドキしちゃいます。それもその時だけではありません。交合が終わってもずっと身体や胸は熱いまんまです。



「さんほうちゃん、あんなエロ猿ほっといて…さっさと歩いて砂漠から出ようぜ!」

「えっ、えぇ…」

        ・・
「おい、とん平!俺のさんほうちゃんだぞっ!!馴れ馴れしくすんじゃねぇっ!」

「まぁまあ…もん吉、落ち着いて。はい、手拭い。」



いつものよう些細なやり取りでさえ『変態法師』とか『スケベ』『俺のさんほうちゃん』と言われると歯痒い気持ちになります。

もちろん同性で種族が違う彼に恋い焦がれてはいけないと分かっています。しかし、分かっていても意識してしまう今日この頃です。



「さんほうちゃん!前方に人だかりがありますよ!」

「あ、本当ですね…」

「気になるから早く行こうぜっ!水も貰わなきゃヤベェしな!!おーいっ!誰かあぁ!」



柱砂漠を長く歩いていた一行は遠くに人だかりを見つけました。その人だかりに急いで駆け抜くもん吉くんは瓠(ヒサゴ)=(ひょうたんの形をした水筒)を持って水を貰いに行きます。

好奇心旺盛で脳天気なもん吉くんは怪しいとも思わず列の最後尾に並びました。



「お師匠様!なんか並べばあの人が無料(タダ)で水くれるらしいっすよ!」

「わぁっ、本当ですか!それは嬉しっ…、って洪草?(コウソウ)」

「ん?」

「洪草!洪草じゃないですか!!!!」



列の一番後ろに並んでいたさんほうちゃんは先頭で人に水を上げていた青年の元へタッタと駆けて行きました。

さんほうちゃんの仲間の“趙 洪草”(チョウ コウソウ)は目の前で両親を無くしたさんほうちゃんを助けてくれた命の恩人で背も高く顔も整った…女性からモテモテでさんほうちゃんも憧れの存在です。白い髪の毛に澄んだ黒い瞳が美しい、夜灯(ヨルヒ)の国でもトップクラスの僧侶です。



「三蔵、相変わらずお前は本当に可愛いな。」

「へへへっ…洪草にこんなところで会えるなんて。すごく嬉しいですっ!」

「オレもだ。三蔵、お前…天竺へ向かっているのか?」

「はい、皆が幸せになれるお経を頂きに天竺へ仲間と行っています!」



久しぶりに会った二人は絶えない話でニコニコ笑顔。
ただ見ていたもん吉くんは何故かズキズキと傷む胸を抑えながら歯を食いしばりキレイに笑うさんほうちゃんを見つめていました。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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