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法師であるさんほうちゃんが村人に近付き食べ物を恵んでくれるよう頼みます。すると村人は仏教信仰が強いのか、さんほうちゃんの姿を見るなり頭を地に付け何度も拝んでいました。
一方、が太郎くんは何故か嫌そうな顔で人々を見ています。どうやら彼はこの村に心当たりがあるようなのです。
「私は一度、この村で盗みを働きました…」
「えっ!?」
「大分遠い昔のことですが…この村で売れそうな金貨や宝石を盗んだ記憶があります。」
が太郎くんが打ち明けたまさかの事実。彼は自分の村の発展のため人里に降りては盗みを働いていたと話しはじめました。そんなが太郎くんの話しを聞いていたさんほうちゃんは寛大な心で彼を慰めフォローします。
「そうですか。が太郎さん、よく言ってくれましたね。大丈夫ですよ、今の貴方なら…」
「さんほうちゃん、」
「過去より今はもん吉の目撃情報を収集しま、
「きゃああっ!素敵っ!!見て見てっ、あの長身の二人すごい格好良いわ…!」
歩いていると突然、若い娘がが太郎くんととん平くんを指差して騒ぎ出しました。その声にビックリしたさんほうちゃんは一応、自分も男の子なのに何も言われないことにプクッと膨れます。
よく見ると二人ともかなり身長が高いので間に入っていると捕らえられた宇宙人状態です。
「まぁまあ、さんほうちゃん…キミも充分素敵だよ。」
「うっ、うぬうぅっ…」
「お嬢さん達、ココらで金の輪を嵌めた猿ッ…じゃなくって長身の男の人を見なかったかな?」
逆にが太郎くんに宥められたさんほうちゃんはそんなに自分は女の子みたいなのか、男らしさが無いのか段々心寂しくなってきます。確か一番初めもん吉くんに会った時も、が太郎くんに会った時も…女性と間違えられていろんなことをされちゃいました。
その後も男の子と理解してるのかしていないのか、もん吉くんには交合を迫られるし、が太郎くんやとん平くんはまるで子供のようにさんほうちゃんを扱っています。
「そう、知らないか。」
「はいっ、」
「ありがとう、かわいいお嬢さん…」
とん平くんが聞き込み調査をしてくれていますが、もん吉くんの目撃情報は一切無く。どうやらこの集落には出没していないようだと一行は諦めモード。
本当に世話が焼ける奴だなぁと呆れ果てていたその時です。
『…―今夜の生贄は15番街のチェンさんです。夕暮れに広場で儀式が行われますので村人の人は必ず参加しましょう。』
村の中心の塔で放送が流れ、それはもん吉くんを探していた三人の耳にも入りました。山小屋でとん平くんが話した村と言うのはどうやらこの集落のことのようです。
その放送を聞いたチェンさんは誰なのか、先程とん平くんが聞き込み調査をしていた女性がうらぶれた顔で地面に座り込み悲鳴を上げながら泣いています。
「嫌だわ、お母さんっ!なんでっ…なんで私なのよっ!」
「チェンや、落ち着きなさい。妖魔様に娶ってもらえるなんてこんな光栄なことは無いだろ?だからしっかりなさい、」
「嫌よ!あんな人間でも何でもない物に生き血を吸われるなんてっ…この村はおかしいわっ!それならいっそ死んだ方がマシよ!!!」
泣き叫び悶える少女はまだ若く、さんほうちゃんと同い年くらいでした。
村の理不尽なルールに従わないといけない齢彼女を見たさんほうちゃんは心痛み、手を合わせながら項垂れるチェンさんに近づきます。
「お嬢さん、」
「ほ、法師様っ…?」
「私達が全力で貴方をお守りいたします!ですから御安心下さいっ!!」
カッコよく決めた男、さんほうちゃん。綺麗なチェンさんの瞳の奥深くに語りかけるよう頷きました。しかし、彼女に同性だと思われていることも知らず…
握られた手にドキッとして男の子らしい一面を見せたさんほうちゃんでした。
[*Ret][Nex#]
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