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remain sparkle



ぐったりした身体を布団に沈ませ白く繊細なおでこに手を触れる。その瞬間、指先が徐々に冷たくなって見たくない自分の遠い未来がリフレクトした。

『…―きっとこの想いは誰にも理解されずに爆ぜていつの日か消えて無くなるのだろう―…』と、決められた儚い夢が俺の心を蝕んで苦しめた。

俺は罪を持って生まれたいらない存在だから、遠い昔に置いてきた『愛』を今更欲しいなんて思っているのかもしれない。



「うぅっ…」

「ひぃクン、おはよう。」

「おっ、おはよぉ…」



おはようと言っても午後7時、テレビを付ければ必ずひぃクンの事件の内容が取り上げられていて、早くも犯人の特徴が出始めていた。



『目撃者によりますと…白い軽自動車から長身の男が出てきてヒカルクンに近づき、話しかけていたということです。もう一度、木瀬ヒカルクンの当日の服装と特徴をお伝えします。身長132cm、体重30kg。その日ヒカルクンは頭に赤い野球帽、服はサスペンダー付きのショートパンツ、靴は赤のスニーカーを履いていました。情報提供は以下の電話番号です。今も警察による必死の捜索が行われています。』



メディアではファンによる誘拐かと言う話しは全く出ない。寧ろ芸能人と言うレッテルが貼られている彼から出る金目当てと言う報道や推測ばかりだ。

犯人から一切連絡は無いのに何故そういう誤報を上げているのか…
誘拐事件や強姦事件に発展させたら厄介だからか、俺にはよく分からない。



「つきひこ、テレビ消して。」

「あ…うんっ、ごめん。さっき消せって言ったの俺なのに、」

「・・・。」



それでも俺は今この瞬間に幸せを感じたい。

この先どうなろうと今、目の前に大好きなひぃクンが居ればそれで良いと甘いことばかり考えていた。



「今夜はひぃクンの大好きなハンバーグだよ。プロフィールに好きな食べ物はハンバーグとじゃごりこって書いてあったから。」

「うん、」

「食べたら一緒にお風呂入ろう。ちょっと窮屈だけどひぃクンは小さいから大丈夫だよね。」

「うん、」



二日目で状況も理解したのか、大人しく頷くだけのひぃクンに相変わらず笑顔は無い。

美しく笑うキミが大好きなのに。テレビで見た理想と俺が犯した罪はこうも違うとそこにある辛い現実だけ胸に突き付けられた。









記憶に残ってるヒトの温もりは8歳の誕生日、母さんが仕事から帰って来て俺にお絵かきセットをくれた時。母さんが生きていたという最期の証、最期の記憶だ。

翌日、両親が血まみれで和室に倒れていて訳の分からなくなった小さな俺は父さんの冷たくなった腕に触れていた。そして父さんの手に握られた刃物にはべったりと生々しくも残酷な紅い血がこびりついていた。

日頃から仕事もせず酒ばかり飲んでいた父さんは母さんを殴ることでストレスの解消をしていた。

警察の見解によると自殺した父さんの首からたくさん溢れた血による血液検査で分かった…―数ヶ月前からクスリに手を染めていたということ。

薬物中毒になり藻掻き足掻いていた父さんを必死で止めた母さんは揉み合い、急所を刺されて死んでしまったらしい。


その後、周囲に同情されながら母さんの母親と暮らした俺はこの根暗な性格の所為で転校した学校でイジメにあい、どんどん孤立して心を閉ざしていった。

もちろん高校に上がっても友人と呼べる友人は出来ず、金も無かったため大学進学は断念。テレビでひぃクンを見るまで心の拠り所など無く一人孤独に生きていた。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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