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写真撮影のスタジオに連れていかれた俺は遠く離れた所から新しいコスチュームを来て椅子に腰をかけたひぃクンを発見した。

久しぶりに見たかわいい顔は何だかげっそりしていて正気も無い、ただ呆然と一点だけを見つめている。



「ヒカルは貴方と離れてからずっとあの調子で居るんです。犯罪者とまた再会させるなんてありえないことなんですが、ヒカルが絶対と諦めてくれなく

「マネージャーさん…言っておきますけど俺はひぃクンに酷いことをしたんですよ?これは何かの撮影なんですか?面白おかしく書かれて記事になるんですか?」



遠くから見ていてもやっぱりひぃクンへのドキドキした感情は全く変わらなくて胸が熱くジリジリ灼けていた。

きっと今誰か裏で仕組んでいる人が居て俺のことをまた記事に書くのだろう。だからひぃクンが俺に会いたいなんて信憑性ないこと、本当に芸能界はくだらない世界だと改めて思った。



「そんなこと無いから困っているんですよ、夏川さん。無理と分かっていますがヒカルに会ってくれませんか?」

「だ、だから俺は犯罪者で…」

『つ、つきひこっ!!』



必死に面会拒否をしていると椅子から立ち上がり、満面の笑みで駆けて来るひぃクン。

だめ、ダメだこれ以上。
絶対に見ちゃいけない、もし触れでもしたら理性が効かなくなって頭がおかしくなってしまう。それなのに形振り構わず走るひぃクンはとうとう俺の足元にまで、かわいいお顔をこちらに向けて上目遣いで俺を見つめた。



「つきひこ、久しぶり…元気だった?」

「あっ、…ああ、」

「手紙みてくれた?」

「あ、あぁ、」



今目の前に居るのは紛れも無い、あの有名子役の木瀬ヒカルで俺は誘拐した犯人。俺は車の中で早速レイプして家の中や風呂場でも、ひぃクンを組み敷いてセックスを強要してを繰り返した凶悪な犯罪者だ。

なのにひぃクンは何も無かったよう満面の笑みを俺に見せすべてを壊そうとする。



「大阪行ったの、おみや

「あ、あのねひぃクン。俺とは話しちゃいけないし会っちゃいけないって…分かる?」

「え…、?」

「えっじゃなくて、ひぃクン…俺は悪いことをした犯人だから。もうこれからずっと会わない。手紙にも書いただろ?だからお仕事頑張っ

「つ、つきひこはもぅボクのことすきじゃないの?」



涙を必死に堪えて会っちゃいけないことやしてはいけないこと、俺が悪いことをした犯罪者だということ全て語った。しかし理解してくれないひぃクンは分かりきったことを聞いてくるから。

胸が痛くて、君を嫌いになんかなれるはずないのに。むしろ会えない時間が増えてTVからでしか君を見つめることしか出来ないなんて考えたら死にたくなる。

消えて無にして存在を亡くしたくなる。



「そんなことっ…!」

「つきひこ、」

「・・・。」

「…ボク、」

「すいません。もう止めましょう。染井さん、俺…失礼します。」



俺の名前を小さく呼んだあと何かを言いかけたひぃクンを遮りながら俺は足早に撮影場から出て行った。

そのあとを追いかけてくる小さな足跡ははっきり聞こえていたが知らんぷり。マネージャーさんの車に駆け込み座りひぃクンから逃げた。






[*Ret][Nex#]

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