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ムキデレ/Slave



浅井さんはとっても分かりやすい性格だ。多分、百瀬課長以外の三課メンバーは皆、絶対に気付いていると思う。

俺が確信したのは入社して一ヶ月経った頃。企画課の海原さんに売り上げ報告書を渡して来てほしいと浅井さんが桜庭に頼んだ時だ。

桜庭は天真爛漫なあの性格。自信満々に『任せて下さい、浅井さん!』と、笑顔でオフィスを後にした。

その後、しばらく経っても帰る気配の無い桜庭にブチ切れた浅井さんは自ら書類を持って企画課へ向かったんだけど…
どうやら企画課にも来ていないと桜庭はヨルヒ社内で迷子になってしまったらしく。

血相かいて浅井さんは桜庭を探し回ったんだ。



「姫宮、すまないがココ…直しておいてくれ。」

「浅井さん。そんな慌ててどうしたんですか?」

「どうしたも何もさくらんぼが迷子になりやがったんだ。じゃあな、姫宮。あとはよろしく、」



髪色がさくらんぼに似ている桜庭をそんな愛くるしいあだ名で呼んでいるなんて。これは怪しいと俺はまず思った。

それに普段見せないような慌てぶりを見せる浅井さんはきっと桜庭のことがカナリ心配なんだと思った。



「ふははは。浅井、おもしろーいっ…」

「武田さんもやっぱ思いましたか?」

「うん、あんな慌てぶりは今まで見たこと無いよぉ。相当心配なんだねぇ、さくらんぼクンが…ふはは、」



おとなしい武田さんがまさかの一言。

浅井さんと同期の武田さんが初めて見たと言うことに怪しさはどんどん確信に変わっていくのであった。









「キ、カ、ク、カ、だ!このアホッ!」

「すっ、すいません!」

「どこの誰が宣伝課と言った。しかも山原ってお前…バカもほどほどにしとけよっ!」

「はぃいっ…!」



夜のオフィスで怒鳴り散らす浅井の声。低い声がやくざみたいでかなり怖い。

そして桜庭はその前で小さく何度も謝り、涙を浮かべながら説教を受けていた。
その泣きっ面を見た時はさすがにやりすぎだと俺は浅井さんに対して怒りが芽生えた。



「ほんとにっ、すいませんでしたぁ…」

「ったく、めそめそ泣きやがって…泣けばいいと思ってんのか?」

「違いますっ、」

「本当か?」

「はいっ…」

「・・・。」



ツンとした表情の浅井さんは顔を真っ赤にしながら桜庭の泣きっ面を見ていた。

その瞬間、俺は思ったんだ。これはまるで小学生!
好きな子をいじめちゃう小学生と同じだ!、と。



「分かったなら許してやる…ただし、二度と同じミスはしないように。」

「はいっ!」

「あと…俺もちょっと言い過ぎた。すまなかったな、はいっ。」



ツンデレな浅井さんはポケットから青いハンカチを取り出して涙を流す桜庭に渡した。

親切な素振りはまるで紳士…変な目で見ていた俺は気を引くためにやったとしか思えなかった(苦笑)





なにがしたかったのか…
ちなみに俺は姫宮クンです。

久しぶりにムキデレを書きたかった。

本編はただいま再々改定中ですw





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あきゅろす。
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