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ピンク色の3番ルーム。

光沢のあるスーツを着て煙草を燻らせていた客はボクを見るなり薄く笑って立ち上がる。挨拶を交わした二人を見届けた五百雀氏はごゆっくりどうぞと言ってその場から消えていった。



「はじめまして、」

「はじめまして、新人のサキです。初めてで至らないところがたくさんあると思いますが今日はよろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくね。サキちゃん、」



真面目そうなその客は周りを見渡しながら再び席についてボクの肩に手を触れてきた。

性に餓えているのかベタベタくっついてくる身体はとっても熱くて、何を盛る必要があるのか。ボクは苦笑いをしながら名刺を受け取る。

肩書、ノースストーリー関西支店支店長。名前は【三河内 冬弥】(ミカワチ トウヤ)さん。
男らしく広い額、整った眉に赤みのある瞳、短くツンツンと立った髪。端正な顔立ちと長い手足が綺麗な彼は男のボクもビックリするぐらい美しかった。



「じゃあ、始めようか。」

「はい、」

「よしよし、こっちおいで。」



美しい彼はボクを手招きして足元に来るよう命令した。ぱかっと開かれた股の間に収まり、布越しでそそり立つペニスを揉み拉く。
とても熱いそれはビクビクしながら大きくなり、気持ち良さに耐える吐息も強くなっていた。



「はぁっ、はぁっ、」

「ど、どうですか?」

「うんっ、とっても気持ちいいよ。そ、そのまま直に触れてもらえるかなっ…?」

「あ、はい…」



甘い顔をする三河内さんは握るボクの腕を掴んで歯を食いしばる。ちょっと荒い感じだけど無理矢理ズボンに手を突っ込み直に握るとそれは固くてとても熱かった。

ただ握っているだけなのによく感じてくれているのか、太腿が小刻みに揺れてなんだかボクも恥ずかしい。



「あっ、あっ、」

「三河内さん…」

「サキちゃんッ、俺…もうっ、イッ、」



ぷるぷると身体を震わせた三河内さんは何度も胸を上下に揺らしながらボクの手に精を吐き出した。

それはとっても濃くて身体にもべたつき、部屋中に臭い匂いが充満する。



「ああっ…ご、ごめんねサキちゃん。最近、こういうのやってなくてさ。」

「いえ、大丈夫です。これが俺の仕事ですから…」

「初めてなんでしょ?あんまり無理しないでね。」



お客さんなのにボクに気を使ってくれる三河内さんは射精し終わるとふぅとため息をついてボクの頭を撫でた。

扱いになれているのか優しい口調が落ち着く彼は良いパターンのお客さんだと思う。本番は出来ないマーガレットで欲を満たす彼がまともにも見えた。



「サキちゃんさ、“初めて”って言うことはあまり他のお客さんには言わない方がいいよ。」

「え、?」

「“初めて”って聞いて嬉しい男は居ないからね。遊びでも自分以外知らないんだって独占欲が満たされる。」



低い声で注意をした三河内さんはボクの瞳をじーっと見つめてにっこり微笑むと後ろを向き煙草を咥えた。

確かに何も知らないことは恐ろしい。男の人を相手にするのは初めてでは無いけど大分時を経てしまったので感覚も薄れている。



「俺、ずっとサキちゃん指名するから。」

「は、はいっ!」

「もしよかったら“ドウハン”とか“アフター”もよろしくね。あと、俺のことは『冬弥さん』って呼んで。お近づきの印に…じゃあまた、」



次回もボクを指名すると約束した三河内さんはただ抜いただけ15分、たったそれだけで足早に部屋を出て行ってしまった。

こんなことしかしてないのにお金をもらうなんて、誰も信用してるわけじゃないがなんだかやるせない気持ちになっていた。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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