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幼い頃は気持ち良さを感じることが無かった。むしろお尻が痛いだけ、腰をガッチリ掴んで離さない黒薔薇が怖くて怖くて涙も出ないくらい怖くて痛かったことを覚えている。

固いペニスがボクの割れ目にぐぬりと挟まりと大きく息を吐いた東雲社長はその勢いに身を任せ挿入無くとも息んでいた。



「やぁっ…、」

「サ、キッ…、」

「ぁっ、んっ、」

「ったく…五百雀氏も酷い人だ。挿入禁止なんて僕を生殺しにしたいのかっ…?」



甘く小声で囁く東雲社長。欲望さえ満たせればこんな奴、目隠ししたら何の中にペニスを入れているのかなんて分からないだろう。

でも今は視界が拡がっているためか何度も擦ってもなかなか達してくれない。



「サキッ、さきっ…、」

「んっ、ぅっ…」

「ねぇ…いい、?」

「え…?」

「…んっ、ダメだよね。約束破るのっ…バレたら怖いからやっぱりいいや、」



身体を反転させられて何か言いかけたままゆっくり顔が落ちる。強く唇を重ねる。

蕩けた瞳は真っすぐボクを見ていてその冷たさで分かった。この人は寂しがり屋で誰かと繋がっていることに依存しているのだろうと。

だからキスで恋愛感情が芽生えたら、ボクはこの人の不思議さと孤独な瞳に引き込まれる。だからその前に引き下がらなければいけないと自分自身に強くブレーキをかけた。









すやすや眠る東雲社長に一瞥したボクはマーガレットに行く前にある場所に向かった。実は今日、初めてのお客さんである三河内さんが「同伴」と言うイベントに誘ってくれてご飯を食べることになっている。

こっちの世界の用語は全く知らないので意味も分からず。ボクは三河内さんに連れられて高そうなイタリアンレストランに入った。



「サキちゃんとお店以外で会えるなんてね。私服、かわいいね。」

「い、いえ…冬弥さんも。スーツも素敵だけどタータンチェックがよく似合って、」

「ぶっ!」

「ど、どうかしたんですか?」

「あ、いやっ…サキちゃん何か固いよ?デートでも相手はこんなオジサンなんだからさ、」



初めてこんな高そうなお店に入ったのとすごくオトナで素敵な“冬弥さん”と一緒に食事をするなんてダブルに圧がかかってとても緊張してしまう。

オジサンとは言え一度身体を見た相手だし、下半身を知っているし…よく分からないけどこの後のことをボクは心配していた。



「サキちゃん…さ、」

「はいっ、」

「止めなよ、この仕事。」

「えっ?」

「単刀直入に言うと俺、キミに一目惚れしたみたいなんだ。だからすごく嫌なんだ、キミが…キミが他の男のモノになるのが。」



料理が来る前に真剣な眼差しでボクは冬弥さんに手を握られ仕事を辞めろと言われた。まだ一回しか接触していないのにそんな重いことを言われては気持ちが追いつけない。

それに、ボクはもうあの時から誰のモノでも無い。心は、いつだって奴の影ばかり捜しているのだ。



「あ、冬弥さん…その、俺…」

「サキちゃん。」

「はい、」

「ごめんね、変なこと言って。マーガレットは本番が無いから安全だもんね。本当俺、何言ってんだか。」



明るい表情を見せた冬弥さんは出されたレモン水を一気に飲み干してあっけらかんとした。

優しい彼と居るとこっちまで心が豊かになって、こんな暖かい気持ちになる人は初めてでなんだかどきまぎしてしまう。



「わぁーっ、おいしそっー!」

「うん、すごい綺麗な色したお肉だね。いっぱい食べて精をつけてね!」

「はいっ!いただきます!!」



綺麗に盛りつけられた料理が来てテンションが上がったボクは礼儀作法お構いなしにフォークを掴み牛ヒレ肉のステーキをパクリ。柔らかい食感と甘味、溢れる肉汁に舌鼓。

この先起こる出来事も知らず呑気に御馳走を頬張っていた。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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