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愛撫された身体の僅かなぬくもりを感じながら、彼の瞳に想いを伝えた。
その生温い空気に耐え兼ねたのか、小さくため息をついた西大路氏に場所を移動しようと手を引かれた。
ボクが連れていかれたのはカーテンをしていない大きな窓ガラスの前。
屋敷から見える橙色の門灯がぽつり、庭の草や木。外からはボクらの姿がまる見えだ。
恥ずかしいと少しは想っても。透明なガラスに胸を押し付けられて、後ろからぷちゅりと挿入。
自然に律動が再開された。
「はぅっんッ!は!は!は!あぁッッッ!」
「っ、奈緒、声を少し…小さくしな、さいっ…」
「ィあっ、ッあ!あ!」
嬉しいから。
貴方がこんなにボクを求めてくれていることがとても嬉しいから。
歓喜の叫びは止まらない。
寧ろ、想いと比例して声はどんどん強くなるばかり。
ずっと貴方を感じていたいから、この幸せがずっと続けば良いと思った。
「ん!んっ!んぅっ!」
「・・・ッ、」
「もッ、す、すきっ…」
容赦なく突き上げ。
腰を引き寄せられ、当たる角度が変わった。
気持ち良いところに西大路氏のペニスが浸蝕。
ボクは縦横無尽に揺さぶられて限界に達している。
「んあ、そそそッ、御主人様ッ!そッ…も、んもッ、」
「…ほぅ、ここが、」
「んあ!んあ!ッ!」
背後でぶつぶつ独り言を言っている西大路氏の得意顔が窓に映り見え、ボクは頬を染めた。
心奪われて、甘い悦楽がこの部屋全てを包みこむ。
「ふぁあんッ!」
「くっ、良すぎたか。」
「あ、あああッ!あ、あ、あんぅッ!」
相手が彼だからか濃厚に性行為をしてるみたい。
西大路氏のペニスがボクの感帯をぐりぐり、扱かなくてもびゅくびゅくっ。
ほっとする暇無く再びぐりぐり、またびゅくびゅく。
気持ち良すぎて意味が分からない。
「ッな、奈緒、お前がそんな声を出すから、」
「んおっ!ん!ああ、な、なにコレッ、んごぉっ、ごしゅじ…」
「く、」
身体を持ち上げられて騎乗位。加減することなく激しい突き上げ。
全てが快感。
「慎み無く本当に下品。今日は、見事に…猥らだな。」
「やっ…ゃだぁんっ、」
「嫌だじゃない。奈緒…此方を見なさいっ、」
規則正しく腰振り続け。
淫奔な快感に薄ら目を開くと頬を赤く染め、ボクを見上げる西大路氏の姿。
顔を、瞳を、ボクの全てを彼の黒い瞳が見つめていた。
「み、ないでっ…見ないでッ!」
「んッ、な…なぜだ、」
「っ、見ないで、見ないでよぉっ!」
見つめられたら全て崩れる。初めての感覚に同様は隠せない。ゆえに不埒な顔を手で覆い隠そうとしたら脇に手がぐるりと回り力強く抱きしめられた。
背中まで染みる肌の温もりが思った以上に柔らかくてどうにかなってしまいそう。
お互いの荒い息遣いを聞きながら快楽に溺れ、ボクらは愛も無いのに、互いを抱き寄せ性交し続けた。
そして込み上げる思いにふとボクは思った。
初めから何も変わらない切ない間柄だったけど、どちらかが変われば変われるんじゃないかなって。
だから、
だから、
ボクが変われば、きっと変われると胸中を打ち明ける覚悟をした。
「…あ、あいしてます。」
「また、くだらないことを、」
「本当に…愛してるからあなたと一緒に居る時間が欲しいと思う、お金もいらない、あなたが好きで、あなたが良くて、あなたのことずっと前から
「――ッッあああ!五月蝿い!うるさいっ――!ッ、黙れ!!善くも愛なんて低俗な言葉を私に言ったな!冗談でもそんな汚い言葉を使うなと何度言わせたら分かるんだ!さっさと失せろ、汚らわしい!」
ボクには愛がある。
貴方とは違う。
叶わないけど、愛がある。
それを伝えたら全て終わってしまうって分かっていたのに。幸せ過ぎて盲目になったボクはいつの間にか自分の想いを口にしていた。
肩を突かれ、暖かい繋がりは解き放たれる。
突然喚いた西大路氏は思い切りドアを閉め部屋を出て行ってしまった。
その後も彼の瞳にボクが映ることは無かった。
振り返りもせず部屋を出て。
ボクを二度と見無かった。
[*Ret][Nex#]
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