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rotten bloom



自分の想いを一向に打ち明けない西大路氏は帰国して藤村さんと口論になったあの日以来、多額の金をボクに渡すようになった。

金持ちの彼は全て金で解決出来ると思っているらしく、ボクを抱く前に必ず『いくら欲しい?』と聞くようになった。

父さんと母さんから手紙が届いて、金ならもう心配いらないと言われた時は安心した。
仕事の内容を知らない両親には心配かけまいと元気にやってますとだけ返した。

だから、もうお金は欲しくない。欲しいのは西大路氏の言葉だけ。
ボクをどう思っているか。聞けない言葉をボクはずっと待ち続けた。



「奈緒、来なさい。」

「はい、御主人様。」



促され、ボクはソファに座った西大路氏の股間に顔を近づけた。

丁寧にベルトを外してスラックスを下げる。
ボクサータイプの下着も一緒に下ろし、ペニスに口づけした。

赤黒い逸物はボクの口の中でどんどん大きくなる。

根元まで咥えることの出来ない西大路氏のペニスを舌で柔らかく揉みほぐす。
かりくびも丹念に舐め上げ、舌先で微動に刺激し続けた。



「…上手くなったな。」

「んぅっ、ッありがとうございます、ごしゅじんしゃまっ…」

「藤村にもしてあげているのか?」

「っ、はぃっ…」

「・・・そうか。」



西大路氏は顔色一つ変えずボクの頭を撫でた。

もともとボクに興味無いから、誰と何してようが構わないようだ。
でも、藤村さんと対立した時に見せた口惜しい顔はなんだったのかな。

続ければ続けるほど切ない触れ合いに胸はキュッと締め付けられた。



「今日はいくら欲しい?」

「み、道貴さんっ…」

「…は。」

「もうお金はいりません。」



初めて呼んだ下の名前。

驚いた彼の大腿に両腕を置き、真剣な顔で思っていることを口にした。

複雑に、だけど親密に重なり合うボクらの関係を断ち切るために。
何もしないで居るよりはマシと考えた。



「先日、父さんと母さんからお金のことは心配するな、大丈夫だと通知が来ました。だからもう必要無くなったんです。」

「…それでは、この行為もするだけ無駄と言う事だな。」

「えっ、」

「これからは小遣い稼ぎにすればいい。そうすればお互い好都合じゃないか?」



落ち着いた声、全て見透かしているような真剣な眼差しで見つめられると胸がはち切れてしまいそうになる。


ボクはお金がもらえるから好都合。
じゃあ、貴方は何を得ることが出来て好都合なの?

性欲を満たすため?
暇つぶし?
ストレス解消?


誰でもいいなら違う人を探して欲しい。
早くボクを切り捨ててくれればいい。

そうして大切に育てた隠せない気持ち、どんどん大きくなる西大路道貴への想いが今すぐ爆ぜれば楽になれるのにと思った。



「奈緒、今日は目隠ししなくていい。ブラウスを脱いで横になりなさい。」

「はい、御主人様。」

「リボンはつけたままでいなさい。ズボンも脱ぐ必要はない。」



シルクのリボンを首に巻いたまま、上半身裸で白いベッドに身体を沈ませた。

今夜はもっとも恐ろしい一夜になりそうだ。


理由は、視界がはっきりしているから。

普段は目を隠されてセックスをしていたから相手の表情も分からなかった。
でも、今回はお互いにどんな顔をして事に励んでいるのか手に取るように理解できる。


初めての時みたいにボクの汚い顔は見ないで欲しい。
もし、西大路氏に見つめられたら…


今あるこの想いを口走ってしまうかもしれないとボクはココロを非難した。





[*Ret][Nex#]

あきゅろす。
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