艶事ファシネイト
死色の君 -fragile-
人身売買専門店「ドーフ・ヒルヨ」
裏社会に潜み性を営利として成長中で、今大注目の大手企業である。
ドーフの売りは多く区分けされた
「利用者様の為の専門枠」
種類は全部で5つ。
・人間改造課
依頼者から引き受けた人間の精神を破壊する。
・人間レンタル課
人間を利用者様に一定期間、貸出しする。(目的は自由)
・人間性奴隷課
依頼者から引き受けた人間を依頼者だけに絶対服従する性奴隷とする。
・人間販売課
人間を(性以外、主に臓器提供)販売する。
・人間オークション課
利用者様のため、月に1度行われる「人間オークション」
存在価値の無い人間を買い取り、高値で売る。
それぞれの部署にはそれぞれの目標があり、目標達成のため各課チーフを筆頭に全社員全力を尽くして働いている。
「時枝課長、最終日の今日はオークション用人形の買い取り依頼が4件来ています。」
「4件…まずまずだな。すまないが、私はこれから高千穂様の所にオークション開催通知を届けに行くので席を少し外すよ。後は任せたぞ、鬼形。」
「はい!分かりました。」
時枝欣嗣(トキエダ ヨシツグ)
彼もドーフ・ヒルヨの社員だ。
人間オークション課、課長の若きエリート。
入社3年目で34歳の彼は落ち付いた黒髪に切れ長の蒼い目、背は高く体格もとてもいい。
ドーフ・ヒルヨ社内でもとても目立ち、仕事をバリバリ熟すことから「蒼き天才」の異名を持つ。
彼がこの会社に就職した理由は特にない。
ただ、平凡な会社に居た彼がそろそろ辞めたいと思っていた頃に友達がドーフ・ヒルヨを勧め、入社試験を受けただけなのだ。
「当社に希望を出した理由は?」
特に無いです。
「当社の概要を読みましたか?」
興味が無いので一文字も読んだ事無いです。
「そうですか、分かりました。合格です。おめでとう、時枝君。」
ははは、なんて滑稽な会社なんだ。
仕方ない、入社してあげましょう。
何もかも狂った会社に入って、1番辛いと言われている『人間オークション課』に配属された時枝は何をしたらいいのか最初は戸惑いもしたが、性に塗れ堕ちゆく者をたくさん見るのが楽しくなっていて不思議と仕事も捗った。
4年間、一緒に居る妻には会社の概容から存在までも一切伝えず、自分はかの有名な食品会社“ヨルヒフード”に務めていると言っていた。
汚い部分はドーフ・ヒルヨ。
綺麗な部分はヨルヒフード。
実は裏で繋がっているなんて誰も知らないプチ情報である。
同時に誰がこんな愉快な会社を世に公表するもんか。
と、時枝は思っていた。
すごくおかしい、この会社。
社員も全員ゲイなのではないか?って思うほど狂ってる。
性欲に塗れ、溺れ、悶える玩具。
利用する奴らは大体が大きな企業の社長か、組の頭。
彼等は持て余した大金払って性欲処理をする。
買手も買手で無様な連中だと時枝は感じていた。
妻を犯せば自分の性欲は処理できる時枝にとっては必要も、関係も無い玩具。
お互い愛おしそうに名を呼び、厚く唇を重ね、犯し尽くす。
もちろんそこに愛は無い。
男同士なんて汚らわしい…だから余計面白いんだ、この仕事は。
*..艶事ファシネイト..*
「もしもし…」
「・・・時枝課長ッ、やばいッす!助けて下さいッ!!痛い、いたいっ…!!死ぬ、死にますっ…!!」
オークションの常連客、高千穂の元へ向かおうとしていた時枝に痛切を伝える可愛い部下からの電話。
死ぬなんて、また冗談を。
気にする事無いだろう。
「うぁああ、死ぬぅっ!!」
「鬼形、何処に居る?」
「・・・プツッ、」
時枝は高千穂との約束をひとまず先送りにし、進行方向を変更した。
こういうときの対処法などマニュアルには無かったため、内心時枝は難儀した。
依頼者と業者の希望価格のズレで殴られるなんてしょっちゅうあったが、自身経験したことはなかった。
可愛い部下をほって置くわけにはいかない…
鬼形は自分と長く組んでいて、大きなプロジェクトだって乗り越えてきた大切な部下だ。
「はぁ…」
ため息をつきながら思いっきりアクセルを踏み、時枝は猛スピードで車を走らせた。
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