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艶事ファシネイト




どのような手段で家に帰ってきたのか、全く覚えていない。

あの後、鬼形や河辺はどうしただろう?

と、自分で疑問提示出来たのもついさっき。




今、目の前には綺麗な顔をした少年。

ニコニコしながら自分の指を握りしめている。




「とちえださん…?」



「野々宮、俺…」





自分が何をしてしまったのか、理解するのに大分時間がかかってしまった。


今は本能に従い、彼を抱きしめたい思いでいっぱいだった。




「…ごめんな、野々宮。」



「うぅんっ、おなかへーきだたんだね!」



時枝の体調を心配していた優しい野々宮は、良好と分かってきゃっきゃと笑った。

自分のおなかを撫でながら喜び、かわいい仕草を時枝に見せる。




「とちえださん!」



「どうした?」



「ののとずっといっちょ?」



「…あぁ、お前とずっと一緒だ。」




時枝は自身決意していることがあった。

ドーフは辞めて彼と一緒に居ようと。

自分が彼を守ろうと。


心に決めていた。



あんな汚い場所、野々宮も自分も似合わない。

彼に会って気づかされた…

彼のおかげでやっと、あの地獄から時枝自身も抜け出せたのだ。




「嫌なら嫌だと、言ってくれて構わないんだぞ。」



「やじゃないよ!とちえださん、しゅきだもん!」



「俺のことが…好き?」



「うんっ、とち…わあああっ!!!」




時枝は小さなくちびるを余すことなく貪った。

初めてのキスはレモンの味などと現を抜かす青春モノのよう。


今日はみかんの香り。

なら、明日は何の香りがするのだろう…なんて、幸せなことを考えてみる。




「とっ、ぅんんっ…ふぁ!」




白いレースの衿に手を忍ばせ、胸に触れた。


全部鬼形に任せていたので中身を知らなかったが、肌に触れる前に一枚、薄い布に触れて理解した。

野々宮は女性物の下着を身につけていたのだ。


…鬼形もいらない演出しやがって。
こんなもの、変な輩が欲情するだけじゃないか。

と、時枝は苛立った。




「これ、おっぱいいちゃいからポイしていぃ?」



「・・・いや、俺がポイするから、そのままで居てくれ。」




無駄だと思った演出に情欲してしまった時枝は、背中のファスナーを開けて白いドレスをポイした。


露わになったのは少し肉付いた肌に食い込んだ淡いピンクのショーツとブラジャー。


野々宮は体をくねらせ、上目遣いで恥ずかしげに時枝を見つめた。




「おんなのこじゃないのにっ、はずかしぃよぉっ…」



「そんなことない。すごく綺麗だ…」




そう言って時枝はきつく閉められていたブラのフックを外し、大きな手で野々宮の胸を包んだ。


しめつけられて赤くなってしまった白い皮膚に舌を這わせ、優しく舐めあげればビクビク震えた小さな身体。

その仕種が人を興奮させるだけと野々宮は分かっているのだろうか。




「おっぱい、くすぐったいよぉっ…とちえだしゃんっ、うぅっ!んっあぁ!」




指腹で先を愛撫して、舌先でくりくりと乳首を刺激した。


この快感をあまり理解していない野々宮は理性を失ったように身体を波打つ。




「あぁっ、とちえださんっ…おっぱいおかちぃよぉ!」



「その声で俺もおかしくなりそうだ…」




野々宮の身体を愛撫し続けていた時枝も自分の陰茎が熱く膨らんでいて、おかしくなっていた。


耐え切れない欲望を取り出し片手で野々宮のを、もう片手で自分のを扱いた。


女性下着から浮き出る淫猥な陰茎はみるみる大きく熱を持ちはじめる。



「あぅうっ!おちんちんっわぁあ、とと…とちえださんっ、らめだよぅっ・・・」




だめと言いつつ自然に開脚するかわいい野々宮の頬は赤く染まり、時枝から与えられる触りに耐える様子だった。




「んっ、ひゃあうぅっ…」




野々宮がびゅくっと精液を勢いよく噴き出したの同時に、玄関の鍵がガチャリと音をたてドアが開かれた。


第三者の侵入に気付いた時枝は、胸を大きく揺らす野々宮を力強く抱きしめる。





「欣嗣さん・・・」




目の前には目を見開いて茫然自失した様子の妻・由利香。


胸に抱きしめているのは先程永遠を誓った愛おしい野々宮。




「その女性は…誰なの?」



「・・・・。」



「ねぇ!!欣嗣さんッ!」




涙混じりに悶絶した由利香は傍に寄って二人を引き離した。


軽く飛んだ野々宮の体はスプリングベッドに沈んだ。



「うぅっ…んっ、とちえだしゃんっ、」



「野々宮、大丈夫か?」




由利香が居るのにも関わらず、時枝は沈んだ身体に覆いかぶさった。


今の今まで由利香の存在を無としていた彼に彼女への愛は無かったのかもしれない…




「どうしてっ…離れなさいよ!ねぇ、あなたっ…あな・・・・ぃっ!いゃあああっ!」



「・・・。」



由利香が触れてしまったのは野々宮の身体に飛び散った白い精液。


一瞬、これは夫のモノと認識したが、辿って視線を落とせばその元は夫ではないと理解する。




「男じゃないの!貴方、あなた…何してるか分かってるの?」



「あぁ。」



「・・・どう、して。」




時枝の快闊さに畏れた由利香は後ずさりながらその場を離れた。


一方、野々宮は変わらず優しい表情で責め苛まれた時枝の横顔を見つめていた。





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