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星空エビデンス
icicle star



昨夜シャワーを浴びたからだろう、朝は元気に目覚めることができた。


僕は隣で寝る泥棒を殺すはずだったが、お礼を言われ怖じけづいたか何も出来ず諦めて寝てしまったんだった。




今日は土曜日…
誰か遊びに誘おうって気分転換でもしようかな・・・


と、言っても休日に誘ってオッケーを貰えるかどうか分からない、親しい友達も居ない僕・・・










「うぁああっ…良く寝た〜おっ、小野瀬!おはよ!」




気分を落ち込ませる原因の起床。

朝から耳障りな声は低くくてテンションも下がりそうだ。

寝起きのくせに表情が爽やかに見えるのは気の所為だろう。




昨日も一昨日も居座りやがって…





「一流サン…こんなことするの辞めましょう。僕、ヌヌちゃん返してくれたら貴方を許しますよ。警察にも言いません。」




昨日の一件があってかすごく僕は良心的な態度でサカキに交渉をした。

こんなことされて許してあげる心の広い被害者なんて居ないと思う。



「その…ヌヌとかって言う大切な人形返したら、俺と一緒に暮らしてくれるか?」




一緒に暮らす・・・
唐突に何故そんな思考になるんだ?

僕はそういうことを言ってるんじゃないのだけど…




「…ヌヌちゃんを返してくれたら許すと言っているだけです。何故僕が貴方と暮らさなきゃいけないんですか?意味が分からない。」



「・・・・。」





ふて腐れたサカキはぶすっと口を膨らませ、立ち上がり寝室を後にした。

どうやら機嫌を損ねてしまったみたいだ…



なんだよ…返すだの一緒に暮らそうだの本当傲慢で、自分勝手で、偉そうに。














(――俺はお前が好きで…)

ふと思い出されるのは昨日の言葉と何も考えていないようで実はいろいろ考えている深い色の瞳。




…ダメだ。
僕は優しいのかもしれない。

あぁ、多分そうだ。








…★…★…★…








「僕らのクラブのリーダーはー…にっきまーすにっきまーすにっきにっきまーす♪イェーイ!」




結局…助手席に乗せられた僕はノリノリで運転するサカキとネズニーランドに行くことになった。

アカペラで大熱唱…
何故こんなにハイテンションで居られるのか、理解できない。




「小野瀬、楽しみか?」



「…別に。」



「そうか…まぁ、行けば楽しくなっからよ!」




半ば強引に、僕は初めてネズニーランドへ行く。

こういうところには親しい友達や好きな人と行きたいものだ…

だから全然楽しくない。


寧ろ家に帰りたい。




「あの…一つ、いいですか?」



「なんだ?」



「何で僕なんですか?」




未だサカキの目的を僕は知らない。
どこかで会ったことがあったのか、僕に怨みを持っているのか…

誰にヌヌちゃんを渡したのか・・・すべて謎だらけだ。







「くすっ…」



僕の質問にサカキは薄く静かに笑う。
その整った横顔は不思議ととても透き通ってみえた。




「お前の哀しい顔見ると胸が痛む…それが理由だ。」







辻褄の合わない理由を述べられて僕は首を傾げた。
この男と昔どこかで会ったことがあっただろうか?

僕は全く覚えていない。





「願いは叶った…だから殺されてもよかったんだお前になら。何されても構わねぇんだ。まっ、今は楽しいし、まだまだ死にたくないんだけどな!今日は何してもいいぜ。相手が俺で残念だろうが、食っても買っても文句は言わねぇから。」






命を無駄にできる…どこまでも頭が悪いようだ、この男は。


サカキの調子に促され僕は小さく頷いた。





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あきゅろす。
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