星空エビデンス
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Sakaki's viewpoint
サカキの胸に飛び込んで頬を擦り寄る小野瀬は、自分の気持ちを伝えることで盲目的な瞳を麗せていた。
「一流サンが他の人を好きでも、僕は一流サンが好きです・・・」
向けられた小野瀬の言葉にサカキの世界は反転した。
目の前に居るのはこの世で最も愛しい人、小野瀬真尋。
その彼の口から発されたのは好きという愛の告白。
我慢しなくていいと一瞬甘んじたサカキだが、やはり何かが違うということに気付いてしまい彼の言葉を拒絶した。
「小野瀬、離れてくれ。」
「やだあっ・・・」
いつもクールなのに年相応に嫌だと駄々をこねる小野瀬を離し、自分の服をかけてやった。
それでも離れようとしない小野瀬の腕を強引に掴み、何度も近寄るなと言う。
・・・
「何でですか?好きだっただから・・・手遅れですか?さっきの人の方が良かったですか?」
「小野瀬、お前は俺が好きなんじゃない。俺達は身体だけの関係だったろう?身体だけ…ただの勘違いだ。それ以上でもそれ以下でもない。勘違いなんだよ。」
最初から確立された哀しい未来も報われない結末もサカキは見据えていた。
3日間、小野瀬の笑顔の精髄を掻っ攫ったサカキは自分に彼の笑顔を作る資格など無いと分かっていた。
罪を犯して無理矢理身体を繋げても心までは手に入らない。
小野瀬に愛と錯覚を起こさせた自分をさらに自嘲した。
「勘違いっ…僕のこの気持ちは勘違い?」
「あぁ、そうだ。お前の好きも俺の好きも本当の好きじゃないんだよ。」
自分の気持ちに嘘をつき、洗脳させるように小野瀬を突き放したサカキは身体を振るわせていた。
美しく佇む彼を何故抱きしめられないのだろう。
何故受け入れてあげないのだろう。
何故好きになってしまったのだろう。
苦しく、居た堪れない想いを怺え、俯く肩に手を触れた。
「もう二度と、ココには来ないで欲しい。俺は罪滅ぼしをしなきゃいけない…犯罪者じゃないか。分かるよな?最低な人間に冗談でも好きなんて言っちゃいけないんだ。」
肩に手が触れただけで身体が熱くなってきてしまう。
ケイジの時より比べものにならないくらい…サカキの気持ちと欲は高ぶっていた。
「悪い人でもっ・・・僕は一流サンが好きなんです。ずっと一緒に居たいって言ってくれた言葉、忘れません。嘘でも僕は忘れませんっ…」
またサカキの元に抱き着いた小野瀬は、サカキの服に涙を染み込ませるように泣きわめいた。
…もう、限界だった。
泣きわめく小野瀬を優しく包み込み自分の胸に引き寄せる。
聞け、俺はこんなにドキドキしているんだ。
お前のことを考えただけでおかしくなる。
…想いは伝わるだろうか。
「・・・俺が好きなのは、」
埋める顔をすっと撫でサカキは小野瀬にキスをした。
今までに無い力強いキスは小さな小野瀬の口を貪るように咥え、吸い上げ、薄く開かれた口内に荒々しく舌を突き出し思いっきり絡ませた。
抵抗しない小野瀬は瞳を瞑り吐息を漏らす余裕さ。
うっとりキスに酔い痴れてサカキの想いを受け入れた。
「・・・お前だけ。小野瀬真尋一人だけだ。」
サカキは何度も名を囁いて長く深い口づけをした。
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