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星空エビデンス




Sakaki's viewpoint

渡り廊下で立ち止まる小野瀬にサカキは何も言わず手招きをし、部屋に入れた。



入ってすぐ目に映った二人分の器とコップ、箸を慌ててサカキは片付ける。





いや、いきなり人が来てさ…と苦笑いするサカキを表情一つ変えずにぼっーとその様子を眺めている小野瀬は聞こえないように小さく呟いた。




(セッケンの香り…)





棘のある言い方でサカキの傍に近寄った小野瀬は鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅いだ。




「おっ…お前、どうしてココに来たんだよ。」



「…一流サンに会いたくて来ました。」




まさかアノ小野瀬の口から『貴方に会いたくて来た』なんて言葉聞くことないと思っていたサカキはかなり動揺した。





自分だって逢いたくても我慢していたんだ…

受け入れてもらえない自身を守るため、忘れないために。



ホントは今すぐ抱き寄せてキスして愛してるって伝えたくて…

深呼吸しながら自我を抑えた。





「さっきの人は…新しく出来た好きな人とかですか。」



「違う!」



(俺はお前のことしか考えていない)

と、言おうとした所でサカキは口を閉じた。







…学習しろ。

自分の欲求だけを通すのはよせ。

彼を傷つけるだけだから。




「と、とりあえず、こんな時間に中坊がウロチョロとしてんなよな。危ねぇから…」





サカキの忠告を無視した小野瀬の視線、部屋に散乱している道具や怪しい液体をじっと見つめて事を把握しようとしている。



それを見たサカキは慌てて片付けたが、小野瀬の顔がどんどん青ざめていくのが手に取るように分かってしまい、もうダメだと気落ちした。







「・・・僕は何を考えてるんだろう。」






泣き声混じりに腕を振るわせている小野瀬をサカキは愛を持って抱きしめたかった。


が、このまま傷つけて壊れる彼を見たくないから自我を通すのは良そうと何度も言い聞かせる。




「一流サン、僕…」




いきなりワイシャツのボタンを一つひとつ外して服を脱ぎだした小野瀬。


あらわになるのは白い肌。

淡く色づいた乳頭に、細い首筋。



小野瀬は泣きじゃくりながら自分の身に纏っていた服を脱ぎ、ずっと変わらずサカキを見ている。




「小野瀬、やめろ。」




身体に触れたら自分が彼に何をするか、怖くて声だけで脱ぐ作業を辞めさせる。

しかし、聞こえなかったのか小野瀬は手を動かすのをやめなかった。





「さっきの人より頑張ります。さっきの人より上手く頑張りますから。」



「違う!小野瀬、誤解してるんだ、お前は。」




気持ちの誤解を溶くために話しかけるが小野瀬は何も言わず歩みより、しなやかな身体ごとサカキの中に沈んだ。




心臓が潰れてしまうほど胸が痛くなったサカキは全力で抱き着く小野瀬を触らずに剥ごうとする。




もちろん、サカキの方が何倍も体格は良い。

だが、力が入らない。





(いや、違う。離したくないからわざと力を入れていないんだ。)




それ以上触れられない…何も言えないサカキは表面上、必死に抵抗した。





[*ret][nex#]

あきゅろす。
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