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星空エビデンス




トイレに逃げ込んで何度も深呼吸した僕はゆっくり部屋に戻って行った。



たかが漫画なのに登場人物がサカキと似ているだけで身体が熱くなって…

僕はおかしくなってしまったみたいだ。







「真尋、ココでトイレなんて…アレか?」



「んっ?」






漫画をぺらぺらめくりニヤけ顔で僕を迎えた吉岡クンと鈴木クン。



別に僕は何もしてないんだけど…

もしかして誤解されてる?





「真尋ぉっ〜エロ本見て興奮したんだろ?」


「勃っちまったのかぁっ?あははっ…」



「違うよ!本当に気分が悪くなっただけなんだ。」



「純粋ッ〜」



「そんなんじゃ彼女も出来ねぇぞ!」








彼女か…

最近みんなアノ子はどうとか、カップルが増えたとか話していたな。


夏休み前だし、ひまわり祭とかで彼女とデートしたりするのかな。

浴衣着て、手を繋いで…
仲良く屋台を廻って…
楽しく花火なんかも見て…

なんてロマンチックなんだろう・・・










――大丈夫だ。何があっても俺が居るから安心しろ。




空間に指を握り返してみたら、ネズニーランドに行った時のサカキの言葉が蘇った。


カップルみたいに手を繋いで、ずっと隣に居るってサカキは指をギュッと掴んでいてくれた。



その温もりは今、懐かしい思い出にすぎないと思うと何故か胸がチクチクと痛む。





「吉岡は彼女居るもんな!」



「あぁ、俺は居るよ。入学式に一目惚れして告白したんだ。まだチューはしてねぇけどな。」



「真尋は気になる子とか居ねぇの?」



「僕…?」




そう言われてみると、幼稚園…小学校…中学入学、ちゃんとした好きな人は居なかった。

かわいい子だなと思うことはあっても特別深入りはしなかったし、初恋も多分まだだ。



未だに好きという感情をちゃんと分かっていないのが事実かな。


まぁ、まだ12だし…焦って彼女なんか作らなくても全然良いんだ。






「そういえば真尋の事、折谷が好きとか言ってなかったかな?」


「オリちゃんが真尋を?えぇー美形はコレだから困るんだよなあっ・・・」






無自覚とかよく言われるけど、自分はモテると思ったことはない。


遠目から素敵、とかカッコイイとかよく言われる黄色い声には気づいていないフリをしていた。



彼女達のように僕の内面は知らないのはサカキも同じ。


身体と外見で選んだに違いないんだ。





「折谷に告白されたら正直どうすんの?」



「冗談でしょ?」



「いやっ、本当だよ。今日だってずっと小野瀬クンカッコイイって教室で言ってたもん。なぁ、鈴木!」







それはそれで面白いかもしれない。




もう、サカキのこと考えなくてすむから。

サカキ相手に悦ぶ汚い身体を捨てるのには良い機会。

元に戻れるはずだ。





「告白とかされたら絶対オッケーだろ。だってオリちゃんだぜ?いいなー真尋、うらやましい!」



「折谷サン、可愛いもんね。ちょっと明日話しかけてみようかな…」





[*ret][nex#]

あきゅろす。
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