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星空エビデンス




Sakaki's viewpoint


本気で愛してしまったから突き付けられた現実に心は深く傷ついた。




伝えなきゃよかったと飛び出した後でサカキは苦しいぐらい後悔した。

小野瀬の言うとおり確かに最初からいろいろ間違っていたのだから。



受け入れてもらえるはずのない愛。

欲を満たしてくれるだけで良かったのに、三日間『小野瀬真尋』の中身に触れて自分自身驚くほどに大切にしたい、ずっと一緒に居たいと思いはじめてしまっていた。






まさか、こんなに傷つくなんて思ってもいなかった。



一日目は本当はこんな荒いことはしたくないと思いながらも小野瀬の小さな蜜壷に愛液を注いだ。


二日目は調子に乗って持参した玩具を初めて使って小野瀬を壊した。

自分を求める小野瀬が愛しくて、何度も抱きしめた。


三日目は人間らしい小野瀬の顔を見ることが出来て今が1番幸せだと感じることが出来た。





そんな幸せ長く続くはずがない…

焦ったサカキは今すぐに伝えなきゃ、と変な自信に満ちあふれていた。



受け入れてくれなくてもいい。

身体だけでもいいんだ。


最初から変わらない…
俺はお前を愛してる。





もっと違う形で出会っていればこんなに傷つかなかった。


傷つけないで、優しく…最初に戻って愛を伝えながら烈しく重なることができたなら。




もう戻れない過去を悔やみながらサカキはある男の元へ全てを話しに向かった。






…★…★…★…




サカキは愛車のアリストを時速110kmでカッ飛ばし、大きな黒塗りの屋敷の前で急停止させた。


表札に『ONOSE』と書かれた見るからに金持ちな豪邸。

庭は広く、車庫には高級車が4台も並べられている。


家主『小野瀬真寿』に会うべくサカキは手土産一つ持たず眉間にシワを寄せながらチャイムを鳴らした。



アポもとっていないサカキの来訪にビックリしたのかインターホンから聞こえた声は真寿本人。



「榊クン…ッ、どうしたんだい?」



「真寿さん…ちょっと話しがあるんです。」



優しい口調に少し戸惑いはあったが、真寿は頷きサカキを部屋に招いた。



大きな大理石張りの床に金や赤の大きな絨毯。

アンティークな時計や家具がぎっしり並べられている高級感溢れる小野瀬の家にサカキも口があんぐり。




「榊クン、どうぞ。」


「あぁっと…どうも。」


白い小さなティーカップにオレンジの香り溢れる紅茶が注がれ、どうぞの前に差し出される。


挙動不審な態度の真寿を見てサカキは気にせず話しを進めた。




「…やっぱ、無理でした。もう消えろって言われちゃって素直に帰ってきました。まぁ…当たり前っすよね。ホントいろいろ真寿さん、ありがとうございました。」



「・・・・。」



「それでですね、アイツの笑顔を最後に見たいから、"ヌヌちゃん"つークマ渡してもらえませんか?」




それが最後にサカキができる精一杯のコトだった。



自分と居た時は笑顔を見せたことが一度もなかったが、サカキは小野瀬の笑顔を知っている。

その笑顔に惚れたのだ。




あのクマと一緒に輝く星を見上げる笑顔の小野瀬が愛しくていつも車から見つめていたから。



あのクマさえ小野瀬の隣に居れば、アイツはずぅっと…ずっと笑っていてくれる。



瞳を閉じれば思い出せる。
素敵な笑顔を…サカキは、





「少し待っていてくれ。」




席を外した真寿を見送って、サカキは出された紅茶を一口含んだ。





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