星空エビデンス
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Sakaki's viewpoint
小野瀬真寿(オノセ シンジュ)は小野瀬真尋の叔父であると言った。
真尋の個人情報を全部教えてくれた真寿とサカキは意気投合。
二人はお互い、個々の目的を達成するために手を組んだ。
真寿は兄が遺したモノを獲得するために…
サカキは大好きな真尋をモノにするために…
考えた案はナンセンスだったが、二人は達成できる自信満々だった。
暑い夜、仕事終わりのサカキは黒のタンクトップとダークレッドのニッカズボンでいつもより長く真尋の部屋を眺めていた。
窓から明かり差し込みカーテンが開かれる。
扉が開く。
パジャマで出てきた真尋と濡れたクマのぬいぐるみ。
満天の星空の下、笑いながらクマの人形に話しかけるキラキラした瞳の真尋。
その姿を見つめながら、やっとこの腕の中に真尋を…抱きしめることが出来るかもしれないとサカキの気持ちは先走った。
それと同時に心と同じくらい自分の陰茎がじわじわと熱を持ちはじめているのが分かった。
その1時間後、サカキの連絡を受けた真寿の登場。
嬉しさで震えるサカキに微笑みかけながら真寿は下で待機した。
荷物を担ぎながらだったが、身体能力の高いサカキは簡単にベランダへ行くことが出来た。
「じゃあソコに置いてあるクマを私に渡して下さい、サカキさん。」
「真寿さん、はいっ…」
サカキは茶色いクマを真寿に渡し、すぐ振り返って窓を開けた。
すると、奇跡か鍵もかけていない…
『コレは必然的だ。』
と完璧に勘違いしたサカキは真寿に頭を下げながら部屋に侵入していった。
カーテンを開け、左を見るとすーっと小さな寝息を立てて眠る愛しい小野瀬真尋の姿があった。
サカキは欲望を抑えることが出来ず、忍び足で眠る真尋に近づいた。
長い睫毛に小さな唇。
真っ黒な髪の毛は綺麗にカットされていて、とっても繊細で触ったら壊れてしまいそうなくらい脆い。
だから穢れのない真尋に触れる前にシャワーを浴びておこう。
サカキはキョロキョロと部屋の位置を確認しながらリビングに荷物を置き、浴室へ向かった。
服を脱ぎ、洗濯篭へ。
浴室はソープの香りで溢れていた。
匂いを感じただけで眩暈がしたサカキはスーと身体の隅々に酸素を入れるようにたくさん息を吸い込んだ。
鏡の前にはアヒルの人形、ボディソープとシャンプーに、スポンジ。
真尋はいつもこのシャンプーで髪を洗い、ボディソープをつけてこのスポンジで綺麗な身体を綺麗に洗うのか。
スポンジを手にとり、顔を埋めてみる。
ああ、なんて甘美な薫りなんだ…
完全に歓喜でおかしくなっているサカキを見ていたのは小野瀬真尋、本人。
隙間から覗かれたきらびやかな瞳にサカキは我慢できなかった。
「小野瀬・・・」
サカキが真尋の名を呼んだ後の行動は速かった。
強引に細い腕を引き、逃げようとしている体ごと自分の方に向かせる。
篭に入れていた自分のズボン。
警察が来た時に…と真寿から貰っていた銃を手に取り、頭に向ける。
大丈夫…怖がらないで。
撃つつもりはさらさら無い。
ただ、俺を満たしてくれるだけでいいんだ。
「今から言うことちゃんと聞け。そうしないとお前を撃つぞ。」
だけど半面自信が無い。
このままじゃ凶悪な犯罪者?
なら、優しくキスして愛を伝えるべきか?
いや、早い。
どうしたらいい…分からない。
俺は何がしたいんだ。
好きなら好きって抱きしめれば伝わるのか?
状況を把握出来ず素直に言うことを聞こうとする怯えた目の小野瀬を見て、何かが違うと思ったサカキには既に出来上がった哀しい未来も結末も見えてしまっていた。
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