◇
「お前との一週間を引き換えに会社を捨てるなら仕方ない。俺はそれだけお前が大切なんだ。風間には悪いがそれぐらいなんてことない。」
「浅井さんっ…」
「お前が嫌ならいいんだぞ。前から風間のことが好きなのは知っていたし、大嫌いな浅井さんとするのは大変だろうからな。」
お馴染みのベッドで下着姿の僕らは何故か正座をしてこれから行われるであろう儀式を前に躊躇していた。僕は全部浅井さんのことを受け止める覚悟はできているので後は彼次第な面もあるがなかなか先に進めようとしない堅物な浅井さん。
巨根宣言辺りで実は気づいていたが、この人は性経験が皆無に等しいに違いない。ちなみに僕もだが。
「浅井さん、」
「ん?」
「僕、ほんと子供みたいな身体で全然浅井さんとは違うんですけど、せ、精一杯頑張りますんで、今日はどうぞよろしくお願いいたします!」
「お、お前…バカだな、ほんと、」
礼儀正しく頭を下げたところでぐっと近づいて来た浅井さんが僕の頬を両手で包み込むように持ち深くくちづけを交わした。艶かしい舌使いに翻弄されてとろける僕はベッドに身体を沈ませ、浅井さんからの刺激的なキスを完全に受け身の形で受け止めていた。
大きな手がゆっくり下に落ちて胸やお腹を撫でる。舌先が胸先に這ってなんだか下半身まで熱くなってくる。
「はぁ、浅井さんんっ、」
「桜庭、」
「んっ、そこ、くすぐったいっ、」
あの低い声を耳元で囁かれると全身ゾクゾクして気がおかしくなりそうだ。口も目も身体も全部煽情的な浅井さんは下着をパッと脱いで大きくそそり立つそれを堂々と扱き僕の顔に向ける。
今夜はもう最後までしても構わない日だから僕は丹念にそれを舐め上げてあげる。それもこれも浅井さんと繋がるため、必死でそれにしゃぶりついた。
「んくぅうっ、ん、ん、んっ、」
「桜庭、うっ、ああ、」
「んちゅ、ちゅ、くちゅ、」
褒められると余計頑張りたくなる僕は頬裏で浅井さんの大きな先を気持ち良くしようと精一杯頬張った。すると感じたのか浅井さんは身体をビクつかせ、苦悶の表情を作る。
逞しく鍛え上げられた胸や腹の筋肉もエクスタシーに反応してビクビク震えている。
「桜庭、足を広げろ、」
「は、はいっ、」
「っ、最高に良い眺めだな。エロすぎる、お前、」
恥ずかしいけど膝を曲げて浅井さんにじっくり見つめられているそこは熱くてたまらなかった。だから早く僕も気持ち良くなりたいし、気持ち良くして欲しくなっていた。
ビキビキと浮き上がる浅井さんの巨根が濡らした入り口にぴとりとついてもう侵入まで後一歩のところ。
「挿れるぞ、」
「はい、」
「深呼吸して、力はなるべく抜けよ…うぐっ、」
「あ、っああ、ああ、ああ、あああああっぅ!!!!!!!!」
めりめりと無理に押し入る浅井さんの激痛が腰に集中し一瞬僕は意識を失いそうになっていた。星が回るとはこのことであるかのように。浅井さんは大きく息を吸い大きく息を吹くのを繰り返している。
先程の挿れた瞬間より痛みは大分落ち着いてきて重なった初めての感覚が僕を包んでくれている。
「入らない。」
「え、」
「まあ、わかっていたがな。そう簡単に入る訳がない。」
と、思ったのも束の間。入口でストップし、簡単に諦めた浅井さんはお腹を抱えて大笑いしはじめた。股を広げたまま無様な格好の僕は何がなんだかよく分からなくて、浅井さんの大きくなっているそこを見た。
「はははは、桜庭、やはりちゃんとお前を開発してあげることが必要みたいだ。」
「え、えー?!」
「前も言ったろ、俺のが入る訳がない。お前は俺を受け入れられるまで修行だ。あははは、」
何もかもが終わり楽しくなったのか浅井さんはパンツをはいて足早にお風呂へ行ってしまう。ただ1人ベッドに残された僕は半端ない虚無感が辺りに纏う。
でも、浅井さんは怒っていなかった。これから2人で頑張って行こうというサインなのかもしれない。
「あ、っと、桜庭、」
「はい、」
「もちろん、当たり前のことだがお前は俺のだからな。」
「はい?」
「チッ、だから!お前は俺のモノ…なんだから、風間のこととか、姫宮のこととか、口にしたら本気で許さないぞ。」
キツい言葉尻で注意を受けた僕はぎゅっと抱き寄せられ、強引に熱いキスを受けていた。それはいつのよりも濃厚で、互いの舌が絡み合う深い口付けだった。
どちらかとも分からない唾液が僕の顎を伝い、さらに深く押し入ろうとする浅井さんの吐息は今まで聞いた何の音よりも煽情的で何よりも素敵だった。
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