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巨根すぎる故にセックス出来ないと宣言した浅井さんは今までどうしていたのだろう。それを問い詰めるとふてくされた浅井さんは行き先も言わずどこかへ外出してしまった。

僕にとっては羨ましい限りの悩みなのだが、完璧すぎる人は本当によく分からない。



「わわわ、危ない、なんだこの本棚、」



慣れないスカートでふらふら歩いていたら、経済誌がずらりと並んだ本棚にぶつかりそうになった。

無駄に広く、整理整頓もきちんとされている。一人暮らしのくせにどっかのお坊ちゃんみたい、超優雅な生活を送っているみたいだ。



「浅井さんって本当綺麗好きなんだなぁー…こりゃ絶対結婚出来ないタイプだ。」



キチッと並べられている本棚。持ち主の几帳面さが溢れている清潔な部屋に一人取り残された僕は悪知恵を働かせ、浅井さんが帰ってくるまでこの怪しい家を物色してみることに。

ついでに化けの皮も剥がしてやろうと思っていた。









浅井さんの寝室、ベッドサイドのテーブルに伏せてあった写真立て。故意的に地に伏せてあったそれを立て直さなきゃよかったのか…何故そこに“ボクの写真”があったのか謎が謎を呼ぶことになってしまった。

悪知恵を働かせ探索なんかしようとしたボクが悪いのだか…見てはいけないものを見てしまった気がして気が気じゃない。



「ただいまー、」

「おっ…おかえりなさい!浅井さんっ!」

「ん、お前…まだその格好してたのか?昼は居なくなって悪かったな。腹減ったろ?今すぐ作るからちょっと待ってろ。」

「は、はいっ。ありがとうございます…」



なんだか優しい浅井さん。
日頃からこれぐらい丸ければボクも嫌いにはならないのに。それにあの写真を見てしまった所為かちょっと見る目が変わってしまったよ。

大きな荷物を持ってどこか行っていたのかな。日用品まで買い揃えている。



「浅井さん、このお箸と歯ブラシ…」

「あぁ、それはお前のだ。」

「えっ?」

「お前が一週間よろしくと言っていたからな。わざわざ買ってきたんだが、俺のセンスに文句があるのか?」



何処となく微笑ましい浅井さん。ピンクの歯ブラシとピンクのマグカップ、ピンクのお箸、下着や靴下までいろいろ買ってきてくれたみたい。

別にボクは望んでいないのに風間さんの指令に付き合ってくれている真面目な浅井さん。そんな彼の純真な姿を見ていると悪い気しかしない。



「あ、浅井さんっ!わ、わざわざありがとうございます!意味の分からないボクの我が儘に付き合っ

「待て、桜庭。何があるか知らないが別にお前の我が儘に付き合いたくて付き合っているわけじゃないからな。それだけは覚えておけ。あと…」

「あと?」

「しょ、食事の前に着替えて来い。その格好で居られると気がおかしくなりそうだ。」



ごもっともな事を言われたボクは浅井さんに促されたとおり、スカートのハジを持ってお風呂場へ向かった。

風間さんのこともボクの思惑も何も知らない浅井さんに犯される(予定)の一週間。耐えたらボクらはどうなるのだろう。そんなことを思ったり、立てかけてあった写真を思い出したり。


「着替え終わったら早く来い!そろそろメシができるぞ!」

「あ、はーい!」



それに最初は嫌で嫌で仕方なかったけど今はなんだか楽しくなりつつある浅井さんとの日々。風間さんが好きだった自分がどんどん薄れている気がしていた。




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