知らされた真実
連れてこられた場所は大広間のような空間。
両サイドに赤絨毯の敷かれた階段がそれぞれあり、上の階へと続いている。吹き抜けになっている天井にはシャンデリアが輝いていた。
ここに来る間にも、廊下には必ず赤絨毯がしいてあるという事実に気付いたり、壁に飾られている豪華な絵画を嫌というほど見てきた。
何を見ても豪華な屋敷だと、他人事に思う。
空間の中央にある広場に黒いスーツ、とは少し違うけれどそれに似た雰囲気の洋服を着た男が佇んでいた。
そのに肩羽織っているのはマントだろうか…?
その姿はまるで貴族のそれ。
「あの方が私の主ですわ。お時間をいただけるか聞いてみます」
この人物がどうやら目の前を歩く彼女の主のようだ。
「どうした。何かあったのか?」
貴族のような男は彼女が耳元で何かを囁くと銀の綺麗な瞳を細めて不思議そうな顔をした。
「レオンハルト様のお部屋の前を通りかかったところで、この方が出ていらして…」
彼女はそう言いながら歩いて近くまで来ていた俺の手を引っ張った。
引っ張られた俺は急な動作に反応が遅れ少し前のめり状態になって、でも何とか踏ん張って男の目の前に立つ。
顔を上げて、そして近くでまじまじと見た印象。
背高けぇ…っ!
俺でも170くらいあるのにそれでも少し見上げるぐらいだ。
そして少し長い茶色の前髪から見える顔立ちは調っている。美形なおじ様といったところだろうか。へたすりゃ20代にも見えるかも。
「…君、その瞳は――!?」
俺の顔を見て彼は目を大きく見開いて固まる。
おい、おい。またかよ。
人の顔見て固まるなんて失礼だとは思わないのか?
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