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伝わるもの(銀沖)


…旦那ァ、手、デカイんですね。

そう呟いてからしまったと思って眉をしかめる。
なんて女々しい思考回路、今日の俺。


「ん?そうでもないと思うけどなー」

そう言ってパフェを食べる手を止め、こっちを見てくる旦那。

今日はサボりじゃなくて非番だったから、万事屋に寄ったら。

約束もなしだったからもしかしたら仕事かと、そう思っていたけれど。
たまたま居たというか
まあ会いたかったんだからむしろ居てくれてありがたかったわけだけど、いつものように暇そうにしてる旦那がいて。

そのまま俺は旦那を外に連れ出して、
とくに目的もなかったからファミレスに入って、旦那がパフェを食べるのを、向かいの席で見ている。ああ、なんて特等席。

そこでふと、旦那の手に目が止まったのだ。
ぼけっと見とれていたせいか、そこで無意識に冒頭の台詞が口からこぼれてしまった訳で。

「じゃあさ、合わせてみよっか」
「…へ?」

くすくすと笑って、俺の前に手を出してくる旦那。
俺はその手に、そっと自分の手を重ねた。



――ああ、
大きな手だな、と。
旦那の手に触れた最初の感想は、純粋なそれで。
沢山の人を、護ってきた手だ、そして、護っている手だ、と。そう感じた。

その後に、ゴツゴツした表面や肌、体温がゆっくりと伝わってきて。

そしてやっぱり旦那の手は大きくて、俺の手は旦那にすっぽり、とまではいかないものの、包み込まれてしまった。
「まあ、俺が沖田くんより手ちっさかったら問題だろーな」

そう言ってまたくすくすと笑う。

「……」
「…沖田くん?」

「だん、な」
「うん?」
「そっち行ってもいいですかィ?」
「…いいけど」

その声を聞いて旦那の向かいに居た俺は、
旦那の隣に移動して座って、まだ繋ぎっぱなしだった手をぎゅっと握り締めた。

「…手、このままでいて下せェ…旦那」

まだ、離したくなかった。
この体温を。暖かさを。

そして、
この手のように、自分も―…


(護れるだろうか、)

(…大切な物を)



****************


ぎゅっと自分よりいくらか小さな手に、力強く手を握られた。

どうしたんだろうと隣を伺うと、
俯いて何か考えている様子の彼。

付き合い始める前はもっとずっと強いと思っていたけれど、本当は誰より弱かった、彼。
それは以外にも、人の感情とか、そう言うことに関して。
姉の影響だろうか、と銀時は沖田に良く似たその姉を思い浮かべた。

そんな沖田だから。
どうせまたぐるぐると考え悩んでいるんだろうと銀時は思う。
沖田には時々あるのだ、そんな時が。

銀時はそんな沖田が握っていた手を緩く離し、上に重ねてゆっくり撫でてやる。
沖田は驚いたように顔を上げたが、それでも銀時は続けて手を撫でることを辞めない。ゆっくりと上から撫でたり、指一本一本を握ったり離したり、まるで小さな子供が手遊びをするように。ずっと。







―――――…

どのくらいの時間が経ったのだろうか。
気が付いた時には、テーブルに置かれたパフェに乗っていたアイスは、もうドロドロに溶けていたけれど。

「…旦那ぁ」
「あっ、ああ、ごめんな。…退屈だった?」

その声で我に返って、気遣う間柄でもないのに俺は沖田くんに謝った。

「良いんでさァ。
…そんなことより、」

「ん?」

「変態、とか言わねえで下せェよ。」

沖田くんが隣同士だった身体をさらに密着させてきて、耳元で囁かれた。



(手が、性感帯だなんて


知りやせんでした。)



その瞳には、先程の迷いのような、考え込むような感情は消えていて。
ただ、純粋に欲望だけが移っていた。

「旦那が何回も何回も、優しく触るからでィ…」

そう呟いて赤くなる可愛い可愛い彼に、
今日だけは彼の時間が許す限り、付き合ってやろうと思った。

そんな、ある午後のファミレスでの話。



END、


手が性感帯うんぬんが言わせたかっただけですスイマセンしたorz

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あきゅろす。
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