BSD
校門=入るのに緊張します
顔に集まる熱を冷ましながら行時は坂道を歩いていた。
「うぅー、しくった。しくじった。」
ぶつぶつと文句を呟きながら手で顔を扇ぐ。なかなか熱がひかない顔は、先程よりはだいぶまともになったが若干まだ赤い。
「あぁ、初日からこんな失敗は無いわー。」
当分はあの公園に近づかない。そして目撃者を忘れよう。うん、それがいい。まぁ、もうあやふやなんだけどね。悶々と先程の失態についてなんとかしようと考える。
ジジッー、♪ッ♪♪ー
緩やかな登り坂に差し掛かった頃、ウォークマンのフォルダが替わったらしく聞き慣れたフレーズが流れてきた。
『あ、ナイスタイミング。』
流れる曲はマイベストテンに入る曲だ。
♪あなたの おもいでを
わたしに くれるなら
すべての おもいを
かぜに のせて
うたい さかせます♪
リズムに合わせて顔を上げる。
「っほぉうー。」
坂は桜のトンネルとなり、出口の向こうには今日から通う学校ー私立婆裟羅学園が建っていた。
「かっこえぇ!!」
耳から入ってくるBGMと目から入ってくる景色が予想以上にマッチして興奮してくる。
♪そらに さいた おねがいを
あなたに とどけに いきます
むかし かいた えのつづきを
あなたに みて ほしいです♪
「着いたっ!!」
気付くと駆け足で坂を上っていた。
「こっからオレの高校生活再スタートだ。」
深く息を吸い込んで、気合いをかける。
「いっくか!」
一歩右足を強く踏み込み、玄関へ歩き出した。
←振り返る 行く→
[戻る]
無料HPエムペ!