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登校=夢とさようなら 前編
食器を洗い終わり部屋に戻り学校に行く準備をし始める。
クローゼットから出すのは前に通っていた高校の制服だ。前に通っていた高校の制服は有名なデザイナーがデザインしたものらしく、田舎で着ているよりもここ東京で着た方がしっくりくる。そんな田舎臭のするブランド制服に袖を通して、前の高校のスクール鞄を手に持ち鏡の前に立つ。うん、一丁上がり。
たんたんっと階段を下りるとお父さんがリビングでお茶を飲んでいた。今日は玄米茶か。
「今日のお弁当は良いのかい?」
「学校に購買があるっぽいからそっちで買うよ。」
学校内を探検する予定だからその時に買おう。
そうかいと呟きながら玄関に行く俺の後をついてくる。ちょ、茶飲みながら歩かないで。危ない。
ローファーを履き玄関の扉に手をかける。
「それじゃぁ、お父さん。行ってきます。」
「はい、気をつけて行ってらっしゃい。」
扉を開けようとした時、あぁ、忘れてた。という声が聞こえた。
「行時、すまないが伝言を頼んで良いかい?」
「何?」
「松永さんに、ご所望の品が入りました。って伝えてくれないかい?」
「あぁ、あのダンディーなおじさまね?了解。」
それじゃ、今度こそ行ってきます。
そういって扉を勢いよく開ける。新生活を迎える人たちを歓迎するように、薄紅色の桜が満開に咲いていた。
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