BSD
教室=宜しくお願いしまぁぁあす!!
「なんだかんだで良い先生っぽいですね、明智先生。」
「・・・まぁ、なんだ。腕は確かだ。」
ただ今、2ーAの教室へ向かう廊下を歩いてます。ぬぅ、先生足早いな。
「まぁ、松永と付き合っていれば詐欺師も普通の人に見えるな。ところで朔弥、お前制服はどうした?」
「注文するの忘れてました。」
ちょ、先生。そんな呆れた目を向けないで、心がくじける。
「今日の帰りに取りに寄って来ますから大丈夫ですよ。ってか、先生、賑やかですね?」
「あぁ?そんなわけないだろ・・・。」
生徒の楽しそうな声が廊下の端まで響いてきた。
「・・・あいつら・・・朝読書の時間だろうが・・・。」
・・・先生、顔が極道の人になってます・・・!!
「悪い朔弥・・・少し廊下で待っててくれ・・・。」
「は・・・はい。」
片倉先生は振り向かず、行時に告げると静かに教室の戸を開けてー、
「テメェらは静かに本を読めねぇのかッッッ!!!!」
雷を落としました。
『これは・・・カミナリ親父部門の人間国宝になれるわ・・・』
ぐわんぐわんと片倉先生の大声で頭の中が反響する中、行時はのほほんとしていた。
その後生徒に説教した片倉先生が一息つくと、戸を開けた。
「悪いな、待たせた。入ってこい。」
「・・・あ、はい。」
やべ、緊張してきた。顔おかしくない?寝癖ない?ネクタイ曲がってない?一通り確認した後、深呼吸をし、教室に入った。
「今日から同じクラスの朔弥だ。朔弥、自己紹介を頼む。」
片倉先生が良い感じにバトンを渡す。
行時は、はい。と控えめに返事をして黒板に名前を書く。
朔弥行時
「この度、縁あってこちらの学校に通う事になりました。朔弥行時と申します。同じクラスになったのも何かの縁。宜しくお願いします。」
ペコリと頭を下げると、拍手を貰った。よかった。良い人達だ。
「それじゃあ、朔弥の席は・・・大谷の隣が空いてるな。あの空いてる席に座ってくれ。」
先生に返事をして、席へ向かう。おお、視線が凄いぜ。
「・・・やれ、主の隣が吾とは。主も不幸よな。」
どうやら先生が言ってた大谷君とは彼の事らしい。難しい言葉を言うのが口調か?
「朔弥行時です。」
「・・・吾は大谷吉継だ。まぁ仲良くしてくれや。」
すっ、と吉継から右手が差し出された。
うわ、どうしよう。向こうからスキンシップしてくれたぞ!?嬉しい!!
「っ宜しくお願いします!!」
うわぁあい!友達第一号だ!!
ガシッと手を握り返すと、吉継は目を見開き直ぐに引っ込めた。
「あ、ごめん!?痛かった!?」
「いや、なに気にするな。ただの静電気よ。」
なんだ、よかった。包帯ぐるぐるだったから怪我してるかと思った。
「静電気って地味に痛いよね。ごめんな。気をつけるよ。」
「・・・さようか。」
にっと笑って謝れば、素っ気ない口調で顔を逸らされた。そうだ、まだHR中だった。行時も前に向く。
全体包帯巻いてるな彼。オシャレかな?
そんなことを考えている横で、吉継は顔を顰めながら右手を左手で揉んでいた。
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