好きな子教えて

「げっほ、うえっほ!」
「大丈夫か〜?」

昼休み。
食べおわった弁当を隅にやり、ゆっくりと流れる雲を見送っている時ふと思いついて聞いてみた。
それに変な吸い込み方でもしたのか、飲んでいた紅茶で咽ているツナの背中を摩ってやる。
何とか吹くのは堪えたようだが器官に入ったらしい。
暫くして落ち着いたのか、涙眼で睨んできた。
可愛いのなー。



「・・・いきなり、何?」
「ん?いやなんとなく?」
「・・・・・・・・・・・別に、いないけど」
「そっかー」

軽く頷いた山本にツナはムゥと口を尖らせる。
「そういう山本はどうなんだよ」
「俺?」
「うん。
山本は好きな子、いないの?」
「いるぜ?」
「え、嘘マジ!?」

てっきり笑っていないというと思っていたツナは意外な回答に吃驚した。
モテるのは知っていたが、山本自身が好きな子がいるなんて知らなかった。
そんな素振りを見せたこともないし。

へーふーんそっかーとか馬鹿みたいに感心してからむず痒い気持ちになる。
親友に好きな人がいるっていうのは何だか不思議だった。

ちょっぴりドキドキしながら好奇心で聞いてみる。
自分の知っている子なのだろうか。
「だ、誰だか聞いてもいい?」
「ん?」

牛乳パックの中身を一気に飲み干してから、焼きそばパンをほうばる合間に山本はにかっと笑うとなんのこともないように言った。






「ツナだけど?」
「ふべっ!!」





今度は吹いた。









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