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「ねえ、すぱな。“あいらぶゆー”ってどういういみ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・は?」





























【 I LOVE YOU 】
































一体何処で覚えてきたのやら。
ある日帰ってきたボンゴレがいったことに間抜けな声を出してしまった。
相手がただ純粋な疑問でもって尋ねているとわかるので、止まっていた手を動かしながらお座なりにだが答えてやる。
「一般的には愛してますって意味だ」
「あいしてる??」
「・・・・・・・」

まずは其処から説明しないといけないらしい。
好きと同じという意味だと言ってもいいが、重さがだいぶ違うので好きなものが多いボンゴレにそれを連呼されるのも困る。
後であの黒い家庭教師や、正一に怒られそうだ。

(・・・・・・・っていうか、何でウチ)

今思い浮かべた二人のような立派な回答者が身近にいるだろうに、態々遠いこのラボに来るのか。
グダグダと考え飴を転がすスパナに、ツナは首を傾げる。
「すぱなもオレと同じでわかんないの?」
「ウチは、」


わかると言おうとして。
顔を上げたスパナは、ふと口を噤んだ。

視界に入ったのは小さな少年の後ろにあるロボットや工具の数々。
それはどれも熱も命も持たないもの。







それ等と一年のほぼ全て一緒にいる自分は、本当にその意味をわかっているのか。
知識として知っていると、わかっているは、違う。







「・・・・・・・・・・・すぱな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ガリと飴を噛み砕く音にツナはほてほてと近づくと、スパナの顔を覗き込む。
そして繁々と眺めていたかと思うと、ピタとスパナの頬に触れた。
紅葉のような小さな手に、スパナは何事かと眼をやる。
「すぱな、もしかしてねむい?」
「・・・・・・・・・・・それはアンタだろ」
「えへへ」

眠いなら自分の部屋に行ってと言う前に、ボンゴレが膝によじ登ってくる。
重い。

「・・・ウチ、メンテ中なんだけど」
「うん」


うんじゃない。


迷惑と口で言っているのにふにゃふにゃと笑うだけな幼子に、聞く気がないとわかったスパナは、諦めて放ってこくことにした。

















暫くして、オイル臭くないのかと思うのにぐっすりと眠り込んでいる幼子に眼をやる。
すーすーと寝息を立てる幼子は、先程何を聞いたかなんて起きた時には覚えてないかもしれない。
いや、

「・・・・・・・確実に覚えてないな」

まあ覚えていられても困るからいいけども。
ウチは、そんなものは知らないから。








ほかほかと、自分以外の熱はなかった筈の室内に温もりが一つ。
何となくそのふわふわとしたものを惰性で撫ぜていたスパナは、不意に気付いた。

(・・・・・・そうか)















コレが、愛しさか。





























「あいらぶゆー…、か、」


飴を手に持ち、1人上の方に向かって呟いてみる。

本人は意味もわかってないしそもそも寝てて聞こえないんだから、別にいいだろ。











此処にはいない、過保護な者達に言い訳をしてみた。












































ウチの『I LOVE YOU』それはきっと、この『ぬくもり』



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