好きだよ、だから幸せに


「おーツナ、中々きまってんじゃん」
「へへ、有難う山本」


はにかむツナに顔が緩む。
「おうっ、う、うう・・・」
「獄寺、お前泣きすぎなのな」

しかし隣で嗚咽をもらしている悪友にしんみりした雰囲気も何処かへ行ってしまう。
「ううるせぇ野球馬鹿!!
てめぇに右腕としての気持ちがわかるか!!」
「でも今からとか泣くの早くねーか?」

メインイベントはこれからだというのに。
苦笑しながら慣れたようにティッシュで鼻水を拭ってやるツナに、一張羅に付かなきゃいいけどと思った。























今日は沢田綱吉と笹川京子の結婚式だ。

二人の友人が晴れて一緒になる。
これほど嬉しいこともない。








出来るなら俺が幸せにしてあげたかったけれども。
「俺じゃ、駄目だから」
「・・・・・・・・・山本?」

不安げな顔をしたツナに、山本は笑った。
泣いているかのようだった。



好き過ぎて、滅茶苦茶にしてしまう。
傷つけてしまう。

それが怖くて。
だから距離をとろうと思った。

でも無理だった。
1人だけ日本に残って、珠に連絡を取ったりして。
なんだ、結構平気じゃんなんて拍子抜けして笑って。
馬鹿みたいなのなって横を向いて誰もいないことに。

・・・・君がいないことをやっと思い出して、それからやっと気付いた。




胸に洞が突然開いたような喪失感に吃驚して、怖くなって、気付いたら走っていた。

(ツナ、ツナ、ツナ、ツナ…っ)

どんなに捜したっているわけないってわかってるのに、雑踏の中からどうにかして君を探そうとしていた。

君の背中を、面影を探して彷徨った。



どんなに叫んでも応えはないとわかっているのに馬鹿みたいに何度も君の名を呼んだ。
泣いた。












「ツナ、ごめん」












俺は君がいないと駄目になる。

俺と同じになってなんて願ったりなんてしないから。





だからどうか幸せになった君を、見守らせて下さい。


















好きだよ、だから幸せに



(それが俺の幸せってやつだから)


































鐘が鳴り響いたその日。

空は、幸せそうに微笑んでいる君ように綺麗だった。


















第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!