照れる桃色の頬を見て
「あーわかっちゃった?」
いいや、わかりたくなんてなかった。
知りたくもなかった。
会ったもの誰もが恋をするといわれるドン・ボンゴレ。
男女を問わず虜にさせたとしても、彼自身が誰かに想いを寄せることはなかった。
だが、近頃不穏な(幹部などにとって)噂が流れている。
『ドン・ボンゴレが恋をしている』
その噂にそんな馬鹿なと鼻で笑いながらも幹部や他ファミリーのボス達は密かに期待をしていた。
長年の自分の片思いが実るのではないかと。
しかし今までが今までだったため、もし違っていた場合が恐ろしくて聞くことも出来ない。
声をかけては何でもないと誤魔化し笑いを浮かべてツナの首を傾げさせる日々が続いた。
そんなある日。
長らく遠出をしていて久方ぶりに帰って来たので、ツナとお茶をしていたスパナが何気なく聞いた時だった。
「ボンゴレ、恋人が出来たらしいな」
何の思惑も何もない純粋な問いに対し、その場にいた守護者や家庭教師達は一斉に吹いた。
お土産のクッキーを喉に詰まらせかかったツナも、咳き込みながら勧められたお茶を飲んで人心地ついてから赤らめた顔でスパナを見る。
「い、行き成りなにスパナ」
「正一がやつれてて白蘭は妙に浮かれてたから」
「はぁ・・・」
それは俺関係ないんじゃないのかなと不思議そうにしたツナに、で、どうなんだとスパナが尋ね、ツナは可愛らしく頬を染めてはにかんだ。
「えっと、俺、実はルッスーリアさんが好きなんだよね」
「ふうん、じゃあ正一に言っとく」と、ただお茶を啜ったスパナ以外の者達の顔色が絶望色に染まった後、そいつだけは認めるかという絶叫が響き渡った。
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