君は真っ青な顔で


「俺、行かなきゃ・・・!!」


そう言うので。


「駄目だ」
「だーもう!はーなーしーてってばT世〜〜〜っ!!!」

ぎゅむと後ろから抱きつかれたツナがジタバタと暴れる。
いつもだったら何回か言えば不満そうながらも黙って離れるのに。
「遅れたら俺が酷いめに遇うんだぞ!?」

相手の恐ろしさを知らないのかと自縛霊のようなご先祖様に言っても仕方ないのだが。

ツナのご先祖様の1人であるT世は、面識があるという(U世がげっそりとした顔で言っていた)王が大層気に喰わないらしいのだ。
何時の間に会いに行ったかは知らないが、王の機嫌が妙に良かった日か最低だった日のどちらかだろう。
まあ今はそんなことはいい。
それよりもこの幽霊の癖に実体化しているT世の手から逃れ、バイトに行くことの方が先決だった。

「なら行かなければいいだろう」
「そうできるならそうしてるってば!ってあああもう後30分しかないーー!!」

ぎゃああああと本気で叫ぶ。
あの突飛な行動を平気でする王のことだ、このままだとボンゴレにまでやって来るなんてことまでやりかねない。

ボンゴレが王と関係があるだなんて知れたら営業に差し支えることは明白だ。
てか誰も来なくなる確実に。
概ね良い統治をしていても絶対王政をしている無慈悲な孤高王。

頼りにされ支持はされていても近づきたくはないが本音の王の所へバイトへ行ってるだなんて知れたらボンゴレは終わりだ。

(いやまあそれは流石に此処に来るとかは無いとは思うけども!)


「ねえ綱吉、何でまだ宿にいるの?」
「思った傍から予感的中ーーーー!!!」







唯我独尊祖先と気紛れ王に挟まれ、『ボンゴレファミリー』店主ツナの一日が幕を上げた。








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