嗚呼鈍感

いつもの無表情。
なのに何だか機嫌が良くないことだけはわかった。
声がかけ辛いカンジに蜜柑の薄皮を剥くのに熱中していたからそれとなく訪ねることもできない。
しかも剥くだけで食べないのは何でだ。
(でもなーんか俺に怒ってる?っぽいんだよなー)

何でだと思う?なんて膝に乗っているトラに聞いてみるが当然答えてくれるわけもなく。
でもンーと鳴く声だけで癒されて、ほっこりと和んでからふと思った。
そういやスパナってどっち派なんだろ。

やっと満足いくまで剥いたらしいので聞いてみた。
「なースパナって猫と犬だったら猫派?」





























【 嗚呼鈍感 】






























「・・・違う。
ウチあいつら嫌い」
「そうなんだ」
じゃあ犬なのかと聞けば犬はどっちでもないらしい。ただ猫が嫌いというのだ。
ちょっと眉を寄せて言うのを意外に思う。
猫か犬かと聞かれれば、スパナは猫派と答える気がしていた。(なんとなくだけど)
それはきっと彼と猫が何処となく似ているからかもしれない。

「どうしてさ?」
スパナが好き嫌いを言うなんて珍しい。いつもは周り自体に興味がないのに。
それに何かを思い出したのかスパナは飴の棒をプッと吐き出すと、炬燵に顎をのせ口を尖らせる。
「何考えてるかわからないとことか・・・、なんかヤダ」
「なんかヤダって・・・」

っていうかそれお前もじゃん。
目の前の青年が何を考えてるかわかった試しがないので思わず沈黙してしまう。
それを不満に感じたのか更に言い募る。

「何処でもかんでもお構いなしに爪研ぐし、」

いやお前も似たようなもんじゃない?
どこでもかんでも飴の棒捨ててくのとかさ。

「周りに興味なくて愛想悪くて自由気ままで気紛れだし、」

それはお前そのものじゃん。

「人にいつまで経っても懐かなくて自分勝手とことか、なんかヤダ」

だからそれも、(以下略)




・・・・・つまりこれは同族嫌悪というやつだろうか。





ツナの言わんとしていることが眼と雰囲気でわかったのか、スパナはぷいと顔を背ける。
「・・・・とにかくウチは(その)猫が嫌い」
「眼の前にいるのにそこまで拒絶することないだろ?」
「ニャー」
「ほーらトラもそう言ってるし、寧ろお前のとこ行きたそうにしてるじゃん」
「絶対来るな。
ボンゴレもウチにその毛玉を向けないでよ」
「毛玉言うな。ホントに嫌なんだなー」
酷いなー?とトラ猫に話しかける全くわかってないツナに、スパナの機嫌は益々低下していく。



わけのわからないムカムカと、青年の些か呆れられたらしい眼に胸がヒューヒューと寒いような気がする。
でもそれが何なのかもわからないし、どうしていいかもわからないのでスパナはそれを持て余し、ひたすら蜜柑の筋をとる事に熱中する。
剥くなら食べろよというツナの言葉も知らん顔である。







それは蜜柑を取りにいっていた正一が帰ってくるまで行われたが、双方ともにスパナ猫嫌いな理由はわからず仕舞いに終わったという。

















<fine>




































ツナたんは何でスパナが猫を嫌いというのかわからない
スパナは何で自分が不機嫌になるのかがわかってない
そんなわかってない二人に正ちゃんは嘆息。
嗚呼鈍感ってわけですv

ああああ拗ねスパナ最高vvv
こんな素敵な出会いをくれたななやんに最大の感謝をvv

2008.12.30



あきゅろす。
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