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弟は世間知らずだ。

それにずっと男子校だった所為もあって異性には奥手もいいとこ通りこしてヘタレに近い。


だが色恋沙汰を抜きにすれば誰にでも分け隔てなく優しく、そこらへんの下手げな男よりもフェミニストでモテている。
老若男女は問わない。
本人は全く気付いていないのだが。

まあそれでもいいと思っていた。

それが弟のいいところだし、別に困ることもないだろうと。









・・・・・・・・・・・・だがそれが失敗だった。



















「誰だぁ・・・って、何しに来たんだてめぇ!?」
「あらスクアーロ?貴方なんで此処に・・・。住所間違えたかしら?」

煩く鳴らされるチャイムに一家団欒を楽しんでいたスクアーロは、相手が同僚だと知ると更に不機嫌になった。
「間違いに決まってんだろうがぁ!!
ウチにてめえの知り合いだなんて変態はいねえ!!」
「んまぁ失礼しちゃう!」
「スクアーロ、宅急便じゃなかったの?」
「しつこい販売員だ!
顔見られたらつけ狙われるからお前は下が、」

スクアーロの言葉空しく既に長身の兄の肩越しに相手をみたツナは眼を驚愕に見開く。
「って、あれ・・・。ルッスーリアさん!?」
「そのプリティボイスはツナちゃん?」
「どうしたんですか一体!」

驚きながらも嬉しそうに前に出てきたツナを、スクアーロが呼び止める。
「・・・・・ちょっと待て、綱吉。お前なんでコイツ知ってんだぁ?」
「長年の仕事仲間に対してコイツはないんじゃないの?」
「え、スクアーロ。ルッスーリアさんと知り合いなの?」
「それはこっちの台詞だぁ」
「えっとじゃあ、」

紹介するねと照れ照れと赤くなりながら何故かルッスーリアの隣に並ぶツナ。

「知ってるだろうけど彼女はルッスーリアさん。
俺がお付き合いさせてもらってる人だよ」
「そうなのよ〜」




可愛い弟の肩にしな垂れかかるの人外のものを、スクアーロは夢だと思いたかった。
































【 恋するハリケーンスーパー! 2 】

































「んま!外装だけじゃなくてやっぱり中も可愛いのねぇ」
「そうですか?
男所帯だから女性にはむさ苦しいかと思ったんですが」
「そんなことないわよ〜?
とっても素敵だわ」
「・・・・・・・有難うございます」
「ってちょっと待てえええええ!!」

はにかんでいる可愛いツナと、ツナとは対照的過ぎるザ・非人類の会話が可笑しなことに気付いたスクアーロが突っ込む。
その大声に対し、ルッスーリアが些か眉を顰める。
「ちょっとスク、声が大きすぎよ?
今は夜なんだからご近所さんに迷惑じゃなの」
「るせえええ生きてるだけで迷惑なてめーにとやかく言われる筋合いはねえ!」
「スクアーロ!ルッスーリアさんになんてこというんだよ!
女性に暴言は最低だぞ!」
「!!!!?」
「兄が失礼なことばかり言ってすみませんルッスーリアさん。
ちょっと俺の部屋に行きましょう」
「待て!二人きりになんてなったらその化け物に襲わ、」
「馬鹿スクアーロ!!
俺がそんな下賎な奴だと思ってたのかよ!最低だ!
行きましょうルッスーリアさん!」
「お前がじゃなくてだな!待、綱吉ィ!」




投げつけられたクッションを下に落とした時には、既にツナ達はいなくなっていた。


スクアーロは、やはりツナがとてつもない勘違いをしていると確信した。
とても信じられないことだがツナはどうもこの化け物を女だと思い込んでいるらしい。

愛弟に降りかかった災難ではあったが、ある意味不幸中の幸いだった。
誤解を解いてやれば、流石にツナも眼を覚ますだろう。







『スクアーロ。俺、好きな人ができたんだ』







「・・・・・・・・・・・・」
あの照れながらもとても幸せそうに微笑んだ時のツナを思い出すと、胸が少し痛んだがこれも本人の為だ。
此処は心を鬼にしなければと、スクアーロは顔を上げた。






















「綱吉ぃ、開けろぉ」

ドアを叩いても全く反応がない。
いつもは直ぐに返事とともに嬉しそうに顔を覗かせてくれるのに。

ちょっと落ち込みながら続けた。



「真面目な話があるんだ、頼む。
開けてくれぇ」
「・・・・・・・・・何?」

暫く後に、些か不機嫌そうな顔でツナがドアを少し開けくれた。

仕方ない。
信じられないが(信じたくない)、ツナからすれば彼女に暴言を吐かれたばかりなのだから。


「ソイツのことだがなぁ、」
「! まだルッスーリアさんを侮辱する気!?」

キッと此方を睨みあげてきたツナを正気にかえそうと両肩を掴む。

「いいから聞けぇ!そいつはなぁ!」
「聞きたくない!そんなにスクアーロが俺と彼女との仲を認めてくれないなら・・・ッ」

決心したようにツナが怒鳴る。

「家を出る!」
「綱吉!?」

そこまで、そこまで可愛い弟がこのオカマに・・・・!!


色んな意味でショックだった。
それと共に血管が切れる。


「う゛お゛おおおぃ!!こんのカ魔術師野郎が綱吉に一体どんな魔術使いやがったんだぁ!!」
「スクアーロいい加減に、」
「バレてしまったら仕方ないわね・・・」
フッと哀しげに言ったルッスーリアに、振り返ったツナは不安げに顔を曇らせる。
「え、ルッスーリア、さん・・・・?」

昼ドラのようだが見たくはない場景に、スクアーロは鳥肌がなるべく収まるようにと腕を摩る。



「ツナちゃん、ごめんなさい。
私、私実は・・・」
「ル、」
「男なのーーーーー!!」
「ええええええええええええ!?」
(何でそんなに驚くんだぁ!見りゃわかるじゃねーか!?)


衝撃を受けるツナにスクアーロは別な意味で衝撃を受ける。


「ごめんなさいね、貴方があまりにも優しくて可愛くて。
つい甘えてしまったわ・・・」
「そん、な・・・」
「幾ら見た目は違っても。
男に愛してるだなんて言われたら、気持ち悪いわよね」

(安心しろぉ、テメーは見た目からしてまんま男で気色悪いからなぁ)

寂しそうに苦笑する同僚に心で突っ込み、スクアーロは自分に酔っているオカマを視界に入れないように眼を逸らして遠い眼をした。
何処までそんなに勘違いができるんだ。




(まあ、これで綱吉も眼が覚めるだろ)

衝撃を受けて言葉も出ていない弟を見やる。
可哀想に、ツナは蒼白になって震えていた。

改めてオカマに殺意が湧いたが、後でそればやればいいことだ。
今はツナを慰める方が先だった。

「う゛お゛おい、綱吉」
「・・・・・・・ない」
「あ゛?」
「そんなことッ、ない!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・綱吉?」

熱が篭った潤んだ瞳でツナがルッスーリアに訴えるように言った。

「俺は貴方が誰でも、例え男の人でも・・・ッ!
それでも俺はッ!」


嫌な予感にスクアーロの顔から一気に血の気が引く。
(まさか・・・・・・・ッ!!)


「待て綱吉ぃ!!早まるn」



「俺は貴方を、愛しています!!」
「ツナちゃん・・・・・ッ!!」




熱烈な愛の告白に、ルッスーリアが感激したように両手を胸の前で合わせる。
自分よりも大きな(というか大柄)な相手をもう放さないとばかりに抱きしめ、ツナは告白した。





「どうか、俺と結婚してください!!」
「・・・・・・ッ喜んで!」
「喜べるかあああああああああああああああああ!!!!」







眼の前の光景が最悪な意味で倒錯的すぎて吐き気が止まらない。お陰で呼吸も出来ない。



スクアーロはツナを男子校だけに通わせ、女性であれば誰でもフェミニストになることを注意しなかったことを激しく後悔したが、もう後の祭りだったする。













<...fine>

































ホントすいません、でもスクと違って後悔はしない(笑)

あー楽しすぎるvv



あ、フェミニストっつってもツナたんは誰にでも優しいですよv



あきゅろす。
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