1



「きゃ!」
「うわ、すみません!」

少年はぶつかって尻餅をついてしまった相手に慌てて手を差し伸べた。

「あの、お怪我は?」
「私は大丈夫よ。貴方こそ怪我しなかったかしら?」
「お、俺は平気です」
「そう、良かったわ」




にっこりと笑いかけられ、少年の頬が淡く染まる。

それが彼が恋に落ちた瞬間だった。





























【 恋するハリケーンスーパー! 1 】




























S・スクアーロは苛々していた。


「くそッ・・・、くだんねーもんばっか買いやがって・・・!」
口ではぶちぶち言いながらも、ピッピッと鳴らされるバーコードを読み取る機械の扱いに無駄は無い。
明らかにベテランとわかるのに、あまりに恐ろしい形相のロン毛の店員に、そのレジに並んだ客は心底後悔した。
「う゛お゛おおい、勘定置いたらさっさと消えやがれえ!」
「ひいいいいい!」
最後の一つをレジに通し終えたスクアーロに吼えられ、気の毒な客は財布を捨てるようにして走り去った。
きっと彼がこのスーパーを利用することは二度とないだろう。

それが眼に見えてわかったマーモンは嘆息した。
また客が減った。
「ちょっと、少しはまともな接客したら」
「うるせぇ!」

明らかに機嫌が悪いスクアーロにとばっちりは御免だよとマーモンは肩を竦め、品出しをしていたルッスーリアが眉を顰める。
「何一人で嫌なオーラ出してるのよスクアーロ」
「黙れカマ野郎が!」
「そんなにつんけんしてたら来るべき恋の予感も去っちゃうわよぉ?」
「んな気色悪ぃもんはこっちから願い下げだぁあああ!!!」
「もう、やーね人に当たるなんて」

ぷりぷりしながらもスクアーロとは逆に何処か機嫌が良いとわかる同僚に、試食用の刺身を片手間で捌いていたベルが暇そうにナイフをくるくると回しながら顔を向ける。
「ねールッスー」
「なぁにベルちゃん」
「そういや今日だっけ?
ルッスが彼氏の家に挨拶に行くのって」
「そーよ〜だからお化粧もバーっチリでしょ」
「シシシ確かにいつもより勇ましーね」
「あら有難う」
「それ褒めてるの。それでルッスは嬉しいの」

可笑しくないというマーモンの声がスルーされる程、ルッスーリアは浮かれている。
気色悪いが、恋する乙女状態で大したことでは怒りもしなさそうだった。

それと対照的に酷く苛々しているスクアーロ。



真逆だが似たように上の空な二人に、面倒なことにならなきゃいいけどと呟きながらマーモンは集金した袋を持って休憩所に向かった。



















「う゛お゛おおいぃ!綱吉ぃ!」

帰るなり声を張り上げると、パタパタと音がしていつものようにエプロンで手を拭きながら小柄な少年が出迎えた。
「お帰りスクアーロ、今日もお疲れ様」
「おう。じゃなくて、お前、」
「お風呂沸かしてあるけど入る?それとも先に御飯にする?」
「・・・・・・食べて来たんじゃねーのかぁ?」

恋人と、と不満そうに言ったスクアーロにツナはううん?と首を振る。

「だって今日スクアーロ早番だって言ってただろ?
偶にしか無いから一緒にご飯食べたいじゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・」

彼女にはそう言っておいたしと悪びれなく笑い、スクアーロの手から鞄を受け取るツナに少し嬉しくなる。
だが照れて素直にはそうと言えないのでつい憎まれ口が零れる。
「それで振られたって知らねーぞぉ?」
「ふーんだラブラブですから平気だよーだ」
「言ってろぉ」
「あははははは」

ベーと舌を出した弟の頭をわしゃわしゃと撫でるスクアーロの手からツナが笑って逃げる。
「あ、で結局お風呂と御飯どっち先にする?」
「待っててくれたんだろ?」
「え、」
「腹減ったしなぁ」

ネクタイを緩めながら鞄を取り返しニッと笑ったスクアーロに、ツナは嬉しそうにする。
「じゃあ直ぐ御飯準備するね!」
「お前は座ってろぉ。飯よそうぐらい自分でやる」
「スクアーロは仕事で疲れてるだろ」
「それはお前も同じだろうがぁ」
「んーじゃあ一緒にやろっか。そうすれば早いしさ」


一石二鳥だよねとにっこりと笑ったツナに、そうだなとスクアーロも微笑み返した。







今朝ツナが出掛けに彼女を連れてくると言って一日不機嫌だったことなど、忘れてしまう程に。























「此処がツナちゃんのお家ね〜、んまぁ可愛いわぁ!」









おまけにツナには内緒でその彼女がやってきているとは知らずに。

るんるんという破滅の序曲が流れて始めていた。

















<...fine>

































ヴァリアーはスーパーの店員さん達でテーマはベタですv

「御飯にする?お風呂にする?」は新婚さん台詞だとは気付かない天然二人組(笑)


書いてたらルスツナじゃなくなったかもしれないですがこのあときっとなるんでしょう(お前

でも楽しかった〜vv
ザンザス出したい勢いだ♪


これがチャットの魔力か・・・・ッ!!(違う



あきゅろす。
無料HPエムペ!