おまけ

「今日はやけに騒がしいなコラ」
絶壁を登っていた金髪の青年は訝しげに眉を顰めた。



「またリボーン先輩じゃないのか?」
「調査さぼって遊んでいるとはな・・・」
「ム、怒るのは後にしてよラル・ミルチ。
君のオーラでターゲットが逃げる」
「どっちみち、今日は打ちやめだぜコラ」



同じく隣で自分の手だけを頼りに登っている同僚に声をかけ、眼下に広がる森を見下ろした青年は眼を眇める。
「遠吠えが酷すぎる。野宿したら一発で奴らの餌食だ」





闇が濃くなってきた森の最奥部から響いてくる幾重にも重なった鳴き声に、彼等は崖を登る手に更に力を入れた。

































微かな音と、ざわめいている森に男はふと顔を上げ、一対の耳をピクリと動かした。
「・・・・・・・・・・・森が騒がしいな、」


いつもならば其処まで気にしないことだが、今日は些か勝手が違う。
あの子が帰ってくるまでは騒いでくれるなと眉間に皴が寄る。

「ツナヨシは何処だU世」

それにとてとてと隣にやって来て声をかけた金の獣に、U世と呼ばれた男はぎょっとした後、もの凄い形相でくわっと口を開いた。
「T世貴様今まで何処に!?」
「近くだ。
それよりツナヨシがいない、匂いも薄い。何処にいる」
「てめぇを探して飛び出た」
「・・・・・・・何?」

自由気ままな男に牙を剥きかけたU世は、その声に驚く。
「ザンザス・・・」
「俺が探しに行く。いいな」
「待っ!」
「しゃしゃり出るな。ツナヨシを迎えに行くのは俺の役目だ」

既に決めているという声音にT世が冷えた眼差しを向け、ザンザスが低く唸り声をあげる。
「そもそもの原因が出しゃ張ってんじゃねぇ。
それよりさっさと隠居しやがれカスが」
「丁度いい、ツナヨシがいない間に始末をつけてやる。
ツナヨシには人間に狩られたと伝えておくから安心するがいい」
「若作りのドカス爺が・・・ッ!」
「小童如きを相手にしてやるなど俺も寛大になったものだ」
「おい!お前等いい加減に・・・・ッ!!」






―――刹那

一陣の風が運んできた声に、三匹は即座に顔を上げた。






「・・・・・・・・・ッ!」
「ツナヨシの、鳴き声!?」
「・・・・・・・いくぞ」



T世の声を合図に無言で頷き、森が一斉に疾走を始める。















獣王が人界に足を踏み入れる、実に六百年振りとなる数刻前のことだった。






<...fine?>






















































おまけというか書こうとして長すぎってことに気付いて自重したんですが勿体無い精神でちょっとUP(笑)



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