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『 西遊記 』

中国、明代の長編小説。四大奇書の一。100回。呉承恩の作といわれる。唐の玄奘三蔵が、孫悟空・猪八戒・沙悟浄を供に、さまざまの苦難にあいながら天竺(てんじく)(インド)へ行って、仏典を得て帰る話。
中国、宋末から元初の紀行文。2巻。元の李志常撰。チンギス=ハンに招かれ、師の長春真人と西遊したときの記録。長春真人西遊記。
江戸後期の紀行・随筆。正編・続編各5巻。橘南谿著。寛政7〜10年(1795〜98)刊。「東遊記」の姉妹編。天明2年(1782)から山陽・西海・南海の諸道を旅行して得た奇談を収める。

[1] 中国、元代の旅行記。二巻。李志常撰。1220〜24 年、長春真人(丘処機)が、西征途上のチンギス-ハンの招きに応じて西行した際の記録。一三世紀の東西交通の資料として重視される。長春真人西遊記。

[2] 中国、明代の口語体の長編小説。一〇〇回。呉承恩作。1570 年頃成立。四大奇書の一。唐の玄奘(三蔵法師)がインドへ行き、中国に仏教の経典をもたらした史実を軸に、そのお供の孫悟空・猪八戒(ちよはつかい)・沙悟浄(さごじよう)が妖怪どもを退治して玄奘を助ける活躍ぶりを描く。それまでの同種の説話・芝居・物語類を集大成し、登場人物に強い個性を与えて作りあげたもの。

[3] 紀行・随筆。正編・続編各五巻。橘南谿(春暉)著。1795〜98 年刊。角書に「諸国奇談」とあるように、作者が 1782 年から山陽・西海・南海に旅した際に見聞した奇事・奇談を収める。「東遊記」と併せて「東西遊記」という。











































「誰がてめぇみたいな腐れ坊主の家来になるかコラ!」















乾いた不毛の大地に元気だけれども不機嫌な声が響き渡ります。

「家来じゃねぇ下僕だ」
「尚更悪いわ!!」

突っ込んでから気に喰わない男を睨みあげ、精悍な顔つきの青年は綺麗な蒼い瞳を吊り上げました。
名を孫悟空といい、ついさっきまで岩の牢に閉じ込められていました。

「つーか誰が坊主だ。もういっぺん言ってみやがれ」

眉目秀麗と誰もが賛同するであろう顔を冷ややかに顰め、気に喰わねえゾと豪華絢爛の法衣を着た青年は乗っていた馬を蹴りました。
名を三蔵法師といい、天竺に有難い経典を貰いに行く旅をしているお坊さんです。
でもそういうと撃たれて蹴られます。

「痛っ、ちょっ、蹴らないで下さいよリボーン先輩!!
っていうか俺だけ何で四本足!?
これじゃあ、俺の顔わからないじゃないか!」

えー・・・。馬。三蔵法師が乗ってます。
正式名称は忘れました。
あ、白いです。

「煩ぇな。元々メットで顔隠してんだから良いだろ」
「良くない!俺は本当は格好良いんだ!」
「知るか。覚えてねえ。
そもそも馬はてめぇに似合いじゃねえか。
良かったな、パシリ・スキルが増して」
「俺はパシリじゃないし、そんなの嬉しくなどない!」
「似合わねえのは正体が龍ってことだ。
まあいい。見ててやるから化けてみろ。
あとタメ口とは良い度胸だなオラ」

気に入らないとゲシゲシと蹴られ、白馬は堪らないと悲鳴を上げます。

「ぃたっ、だ、だから蹴らないで下さいって!!
それと何がいいんですか!
何もよくないですよ無理ばっか言わないで下さいっ!!」
「俺様は三蔵法師様だぞ?
世の愚民共の為にワザワザ天竺へ有り難てぇ教典を取りにいってやってんだ。
それをお前、敬わねぇなんて、」








『いやもう寧ろお前等天竺来るな』









天から響いてきたうんざりとした声に、3人(?)は嬉しそうに顔を輝かせました。

「「「ツナ!」」」

『ここではツナじゃないって!大日如来!』

こめかみを押さえ、現れた青年は溜息を吐きました。

『少しは仲良くやってるかと思えば…』



ふわふわとした柔らかそうな薄茶の髪を風に揺らし、大きな美しい琥珀の瞳を曇らせます。
名は先程自分で名乗った通り大日如来といい、高位の仏様で三蔵を天竺まで行くよう指示した者です。





俺。何で、こんな奴ら選んだんだろう。。。






































【 目指すは愛する仏様 】







































「ツナ、人界が酷いことになってるぞ」
「? そうだね」

そんなの今に始まったことじゃないだろうと大日如来様はポテチを齧りながら眼を瞬きました。



此処は天界。
神様仏様達が屯なさっている憩いの場所です。

家は各神社やお寺などにあり、ようするに祀られているところがそうです。
多ければ多い程別荘が増えてるといったカンジでなんとなく他の神様からの羨望の眼差しも増えます。

中でも特に人気と寺社の多い神の名を大日如来様といいました。
その洗練された容姿は輝かんばかりに美しく聡明で、微笑めば誰もが膝をつきたくなるほど慈愛に満ち溢れたものでした。

しかし、巷(神の間、人界)での噂とは違い、実際は結構自堕落で適等でした。

「あのなぁ、お前はそれを憂いたりしないのか」
「んーだって自業自得とか、そんなのばっかだし」
「王族や皇族はそうでも、民は関係ないだろう」
「そうだけど、一人を救ったら皆救わなきゃいけないじゃない。
俺千手君(千手観音)とは違うから無理」

「ツナ・・・。本気で言ってるのか」

硬くなった声音の主に、大日如来様も真顔になって返しました。

「本気だよ」












人は一度に救えない。

千の手があったって、千と一人がいたとしたらどうする?

無理だったから諦める?



「俺は」




千の人が救えても、目の前で一人の人間が死ぬのを黙って見ていろと言うのなら



「誰も救わない」



最初から誰も救わない。

そう決めた。















神は時に優しく時に残酷だ。
気紛れに手を貸すと思えば直ぐに手放す。

だったら初めから手など貸さなければ人も諦めが付くというのに。

神も仏も万能なんかじゃない。
本当のことを吐露できない俺達は人間よりもずっと弱い存在なのに。






















「うん、お前の言いたいことはわかった」
「・・・・・・」

「だったら、」
「え?」

ひょいと抱えあげられた大日如来様は

「人間救ってくるまで帰ってくるな」
「うわああああああああ!?」

人界に放り投げられました。


















































そして落下したのが三蔵法師の夢の中。


『ねえ、ちょっとお使い頼まれてみない?』



そう、思わず声を掛けてしまう程に

其処は怖く、寂しく、哀しくて―























































(・・・まあ今は後悔の念しか出てこないけど)

他にいなかったからって、もうちょっとマシなのもいただろうに。

でもいないものはいない。
背に腹はかえられないのだ。

選んだのは自分だから。









『天竺まではまだまだ先は長いんだから。
仲良くしろとは言わないけど、人傷沙汰とかはやめてね』
「安心しろ。此処じゃ幾ら殺ってもバレやしねえ」
『ニヒルに笑うな!一応神様に遣えてる坊主って設定だろお前!?
チッて顔すんな!』
「ツナ!俺はこいつの部下だなんて聞いてねえぞコラ!」
「そ、そんなこといわれてもー」





言うことを聞かない彼等を相手にするのは本当に頭が痛い。
でも今はそれも結構楽しいことかもしれない。























あきゅろす。
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