飢えるよりも苦しいのは喉の渇き

足りなくて いつも簡単に手に在るものを引き裂いた





蜜よりも甘い琥珀ならそれも癒えるのかな?





雪のように舞うそれの中で呟いたって あの子は笑うだけで答えなどくれない



だから期待もしないんだ





































【 白と黒 】

































「へぇ、ツナちゃんの所って皆仲がいいんだ」

「そうなんですよ、この間も皆でお茶会開いたんです」
「ふーん、羨ましいね。
僕んとこなんか皆仲悪くって苦労してるんだよね(主に正ちゃんが)」
「俺には勿体ない位なんですけどね」
にこにこと幸せそうにツナが笑っているのを暫し眺めていた白蘭はぽつりと呟く。

「・・・・・妬けるねぇ」
「え?」
書類にサインをしていたツナはそれに顔を上げるが、何でもないよ〜と百蘭はニコっと笑う。

「ただ僕もツナちゃんともっと仲良くなりたいなって言っただけだよ」
「?それは、だから今こうして会合をして、」
「そうじゃなくてね」
戸惑ったようにするツナの唇を人差し指でそっと押さえ、言葉を封じる。

「ミルフィオーレとボンゴレじゃなくて、タダの百蘭と沢田綱吉として、だよ」

眼を細めて囁く白蘭に、ツナは眼を瞬く。
やがて意味がわかったのかそっと白蘭の手を取り、微笑んだ。

「そうですね、時間を作ってどこか食事にでも行きましょうか」
お勧めのレストランがあるんですよと子供のように笑うツナに、白蘭は苦笑する。

「・・・・・・・うん、そうだね」
自分が言った意味を理解したのかまでは、わからなかったけれど。
今は何の考えも無しに約束してくれたことが嬉しい。


そこでタイミングよく内線が鳴り、ボンゴレ邸から通信が入っているとの連絡に詫びを入れてからツナは席を立った。




























そっと握られていた手に、まだ温もりを感じる。
(今はコレだけで十分、かな?)

自分にしては随分と可愛らしいところで満足しているが、
落ち着かない心臓に気付かれる前に、ツナからは業と離れたのは正解だったろう。

それに、







「僕も、撃たれるのは御免だからね」
「よくわかってんじゃねーかこの似非猫が」







いつのまに立っていたのかわからないが、殺気を少しも見せずに微笑んでいる闇色の男に肩を竦める。

「だってツナちゃんに泣かれるのとかヤダし」
「誰があいつに気付かれるようにテメーを殺るか」

勿論アイツが帰ってから後で訃報を伝えるつもりだったという死神に、硬いものを後頭部に感じながら噴出す。

「へぇ?アルコバレーノのリボーンがドン・ボンゴレに酷く入れ込んでるっていうの、本当だったんだ」
「酷ぇ勘違いしやがる輩が多いみてーだな。
まぁ、どう思われようが俺は仕事をするだけだ」
「仕事?」

片眉を上げたところで慌しくドアが開かれる。

「スミマセンお待たせし、って、リボーン?お前何で、」
先程とは違い一人増えていることにツナは驚いたように足を止め、次につかつかと近寄る。

「外で待ってろっていったじゃないか、勝手に入るなんて白蘭さんにも失礼だろ?」
「うるせえ。何で俺がお前の言うこと聞かなきゃいけねーんだ」
「お前なぁ、護衛で付いて来てくれんのは有難いけどさ、」
プイと横を向くリボーンにツナが呆れたように腰に手をやる。



(護衛、ねぇ・・・?)
マフィア界で有名な死神が、命を守るなどとんだお笑い種だが。
この青年は何も気にしていないらしい。
「あはは、守護者だけでなく家庭教師とも仲がいいんだねぇツナちゃん」
「え、いやもう俺の家庭教師ではないんですけど」
「お前が一人前になれば今日みてーに俺が尻拭いしなくて済むんだよ駄目ツナが」
「はぁ?今日もって・・・、」
朝起してもらったこと?それとも無くした書類見つけてくれたことかないやそれよりもとブツブツと考え始めたツナを眺めながら白蘭はそろそろお開きにしようかと提案する。

















「じゃ、次はまたプライベートでね」
去り際に業とそう言った白蘭にリボーンはすっと眼を細めたが何も言わずに、にこりと笑って礼をしたツナに付いて出て行った。






一人になった室内。





「さて、まずは何処攻めようかな?」
楽しそうに唇を舐めた白蘭は、ゆっくりと調印された紙を破った。


















あきゅろす。
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