そんな訳がない

『それ以外、興味などありませんよ』

『・・・はッ』





本心を言ったのに、馬鹿にしたように黒尽くめの男は鼻で笑った。































【 そんな訳がない 】
































「・・・・・・・・・・・・・・お前骸だろ」



























突然抱きつこうとしてきた守護者に、それを避けたツナは半眼で言った。

「おや、ばれてしましましたか」
惜しいですねと嘘臭い微笑みを浮かべた嵐の守護者は、瞬く間に姿を変える。



途端現れたのはいつもの迷惑な霧。



「・・・当たり前だろ。
獄寺君はそんな綺麗に笑わない。
っていうか最近憑依しないなお前」
まあやったらただじゃおかないけどと冷たく言ってから次の書類に手を伸ばすツナに、それを慣れたように手渡す。

「クフフ、怖いですね。
貴方にお仕置きされるというのもいいかもしれませんが」
「はいじゃあ、あげる」
「?何ですか」
「近くに出来たっていうクラブ。
そういう趣味なら綺麗なお姉さん達が沢山してくれると思うよ良かったね」
シャマルが昨日酔っ払ってもってきたんだいらないからあげると言われて手渡されたものを見て、
骸は黙って『Mっ子な貴方にお仕置きしちゃうぞ☆』と書いてあった四角い紙を破る。

「あれ棄てちゃうの」
「そういう趣味はありません僕は虐められるより虐める方がす、」
「ふーん(どうでもいいや)」
冷めた空気が室内を満たし、霧の守護者は話題を変えることにする。

「・・・憑依のことですがあれは滅多なことでは本来やらないので」
「黒曜中ん時は普通にしてたじゃん」
「あれは非常事態ですから」
「ふうん。
如何違うの」
先程とは違う少し興味のある声音にほっとしながら説明する。

「そうですねえ、幻術はお手軽で後遺症もないのですが、
憑依は僕にも憑依した相手にも負担がかかるので面倒なんですよ」
「そっかーじゃあ俺の体も諦めた方がらくじゃない?」
「貴方は例外です」
「いいから諦めろ」
「嫌です」
無限のループのようないつもの遣り取りに突入し始める。
(ああこれでこいつがこのあと憑依しようとしてくるから応戦して執務室が壊れるんだよなー)

ツナは十分後の室内を想像してうんざりした。

「ボンゴレ・・・」
机越しに体を乗り上げて来た骸に早速かと思い体を出来る限り離そうとした時、
不意に目の端に入った影があった。
自然眼がそれを追いかけ、何なのか気付き、

「あ、」
「あ?」

ツナの声が上げると同時に軽快な音がスパンと響き、緑のスリッパで叩かれた骸は崩れ落ちた。

「何やってんだ」
「リボーン」

ただのスリッパで霧を沈めさせた男はそれを足でツナから引き剥がしてから尋ねた。


















「・・・コイツが、お前を?傷つける?」
骸が自分に憑依の為に刺されそうになっていたと話した途端笑いだした黒装の男にツナは驚く。

「な、なんだよ」
このしつこい迷惑な存在でもあるが守護者の一人でもある男が自分を常に狙っていることなど知っているだろうに。
出てきた涙を拭いながらリボーンは常識を説くように言った。

「有りえないだろ」
















『じゃあコレが終わったら呼べよ』

言いつけ、隣室へ行ってしまった男の背中を見送る。
(何が有り得ないのか説明してけよな)

思いはしたが、思いっきり馬鹿にされそうなので聞かなかったけれども。

(にしてもコレどーしよ)
いつまでも死体のようになられていても困る。
面倒だったが立ち上がり、霧の傍へ寄ってしゃがみ込む。

「骸、死んでんの?」
「・・・・・・・勝手に殺さないで下さい」
死ぬなら領地外で頼むよと言いながら脇腹辺りをつんつく突くツナにその手を握った骸は瞼を押し上げる。
「狸寝入り?」
「失礼ですね、アルコバレーノが嘘もいいとこな話をしそうで立つに立てなかっただけですよ」
「嘘なんだ」
「当然でしょう。僕は貴方の体が目当てなだけで貴方自体はどうでもい」
「そっか」

そっと骸の手を外し、とてとてと自分の席へ戻りながらツナはさらりと言う。
「俺はお前が好きだから傍にいて欲しいけどね。
お前が馬鹿やってくれてたり笑わせてくれるお陰で息抜きできるし」
「・・・なんですか馬鹿というのは」
「まんまの意味だけど?
お前偶に凄い格好で来るじゃん?
あの時のサンバのは凄い笑ったな〜」
思い出したのか、ツナは手が震えないようにしながら笑っている。













書類に再び向かい合い始め、男はもうこちらを見ようともしない。
立ち上がっても大して気にしていない様子の男に更に苛立ちが募る。
(・・・面白くありませんね)
それを解消するように近づく。

「・・・じゃあ次は、貴方の息を止めてしまうような格好で来ますね」
「え、何々どんなの?」
ちょっと期待したように顔を上げたツナのチラと見えたそれに、


「貴方の心を奪う程のものですよ」
「・・・・・ッ!」






音も無く噛み付いて囁き、
やっと此方を見たことに骸は満足げ笑った。






















耳齧るな!と叫んだ時には消えていた守護者に、ボンゴレのドンは瞬時に赤くなった耳を押さえ机に突っ伏した。
「あ〜、もう・・・」













何が次は、だ

































「・・・今から止めて、どーすんだッつーの」
















早すぎて止まりそうな鼓動の箇所を、ツナは服の上からそっと押さえた。





























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