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「ほんっとーにごめん!」
「・・・・・・・・」

勝手に家を占拠されたと思って喧嘩を売って出たら自分の方が最悪な立場だった。
ていうか親父次あったらただじゃおかねえ。

心で呟いてるつもりだが駄々漏れの家光に対する呪詛に少し引きながら目の前の青年は名乗った。

「俺はリボーン。
家光の変わりに経営の責任者になってる。
担当は特に無い。オールマイティだからな。
他のはむさ苦しい野郎共で俺の下僕d」

「大事な貧相なものを潰されたいのかリボーン」

同じ男として皆背筋が震えた。
声がした方を恐る恐る振り返ってみればコックコートを着た女性が眉を吊り上げてリボーンを睨んでいた。
自信とその実力もある(そんな実力は見たくないが)堂々とした姿に眼を瞬く。
「何をサボっているのか知らんが、さっさと働け」
掃き棄てるように言い、ツナが見えていないのか(何しろまわりが長身の男ばかりだから)、女性はさっさと奥へ行ってしまう。
どうもゴミを棄てに外へ出ていてこの騒ぎに気付かなかったらしい。


「綺麗なお姉さんもいるんだねぇ」
ちょっと嬉しくなる。
そりゃそうだよな、
どんなに綺麗でも男ばかりじゃ男性客はつまらない。

「綺麗・・・?」
「お姉さん・・・?」
感心したように美麗だが気の強そう(そして腕っ節も強そう)な女性を見おくるツナに皆が奇妙な顔つきになる。
「え、なんか不味かった?」
「いや・・・」
「人は見た目によらねえな」
「大物ですね」
「は?」
女性の恐ろしさを知らないツナをスタッフ一同は尊敬した。



「俺はコロネロ。厨房を仕切ってる」
「スカルです。ホールを担当させて貰っています」
「宜しく。俺は沢田綱吉。家光の息子だよ」
「「「知ってる」」」
「あ、そ」
「名前だけだったけどな」
「あいつその内息子が来るだろうからとしか言ってなかったしな。
全然似て無くて初めはわかんなかったぜコラ」
「お母様に感謝ですよね」
「はぁ。
あ、処でさ、一番今気になってることがあるんだけど」
「何だ」
「俺ん家、ラーメン屋じゃなかったっけ」
俺の記憶違いじゃなきゃ生まれた時からそうだった筈だが。

それが何故イタリアンレストランになっているのか。















『ラーメンあさり屋』

このダサイ、センスのかけらもないのが店の本当の名前だった。
勿論命名者は親父だ。

名前と親父の腕が相成ってか、客は殆ど来なかった。
なのに潰れないのは巨大なスポンサーがいるかららしいのだが、そこらへんは良く知らない。





「それは」
少し言いにくそうな顔をしたリボーンの代わりにコロネロが答える。
「リボーンが『こんな貧乏くせえ料理が出せるか』って店名から料理内容、客層に至るまで全部変えたんだぞコラ」
店名とか料理とかはわかるけど客層はどうやって変えたんだ。
思ってることが顔に出たのかスカルが軽蔑を込めてリボーンを見る。
「客層はリボーン先輩が綺麗な女性ばかり誑し込んで連れてきていたら女性客ばかりになったんです」
「てめえパシリ後で裏来い」
唸るように言うリボーンにスカルは明後日をみる。
仲悪いのだろうか。
「でも事実なんだろ?」
「・・・まあな」
眼を逸らしてちょっと気まずそうにするリボーンに笑みが零れた。
「別に怒ってないよ、ただ親父がやったとは思えなかったからさ」




少し見回せばわかる。

隅々まで磨かれた店内。

過ごしやすいようにと工夫された配置の家具。

さっき見た丁寧で親切な接客も、

味わった美味しくて優しい味の料理も。

何より帰っていく人達の満足そうな笑顔を見れば一発だった。




「店とお客様を大切にしてくれた。
それだけで十分だよ」




幸せそうに微笑むツナに、リボーン達は息を呑む。




「じゃ、もう行くね」
「なっ」
「確かもう行かなきゃ、間に合わないんだ。
慌しくて御免。
親父の所為で巻き込んで悪いけど、これからも此処を頼むね」

ぺこりと頭を下げてそそくさと行こうとするツナを3つの手が止める。

「え?」
「お前も親父と同じなのか」
「へ?」
「投げ出すなんてオーナーとして有るまじき行為だぞコラ」
「はい?」
「家光の変わりはリボーン先輩でした。
でも、息子の貴方が帰ってきたのなら」
「オメーがオーナー様だ」
「いぃ!?」

「「「お帰りなさいませ、オーナー?」」」







「俺は此処の店主じゃないーーーー!!!」








蒼褪めて叫んでも、ガッチリと掴まれた肩と、面白そうな眼をした彼等からは。

逃げられる気がしなかった。




























<...fine?>


















































「ところでリボーン達って何歳なの?」
「何だ突然」
「なんとなく」
「・・・・14」
「じゅうよんんん!?
その見た目と態度と言葉遣いで!?
詐欺じゃん!!」
「(喧嘩売ってんのかこいつは)そういうお前は何歳なんだ?」
「見たまんま。27歳」
「「「詐欺はどっちだーーーーーーーーーーー!!!!」」」
「えええ!何でだよ!?」























あきゅろす。
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