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これは1人のある伝説の魔術師が本当の自分を取り戻す為、仲間達と旅をしたときの話である。































「だってツナちゃん僕んとこ遊び来てくんないじゃん」
「当たり前だろ。お前んとこ行くぐらいなら骸とサンバしてた方がマシ」
「・・・・・・・・・・・・そんなに?」

些かショックを受けたようにした黒の魔法使いは、次に躊躇なくさっさと背を向けて帰り始めていた白の魔法使いの手首を取った。
「――――じゃあ、やっぱりこうするしかないよね」
「は?んんっ!?」

自分の傍に引き寄せてにっこりと笑った男の顔が急に近くなったかと思ったら、息が止まったことに白の魔法使いは硬直した。
そして猛然と身体を引き剥がそうとするのだが、頭と腰が大きな手にしっかりと固定されている上に体格差があり過ぎた。
呼吸も間々成らない執拗なものに、段々と酸欠の為体の動きは鈍り、腰が砕けそうになる。

どれくらい時間が経ったのか。
実際はそうでもなかったのかもしれないが、白の魔法使いにとっては永劫の拷問ともいえる時間の後、黒の魔法使いは顔を上げた。
口から零れそうなものを、唇を指でなぞられる形でゆっくりと拭き取られても意識は朦朧としていた。
ぼんやりと相手がその指を自分の口にもっていくのを眺める。

「ごめんね、苦しかった?」
でも詠唱されると僕が死んじゃうからと言ってやっと離れた黒の魔法使いに支えられ、ぐったりとした白の魔法使いはそこでやっと男の身長がやけに高いことに気付いたが、そこまでが限界だった。



「またね、ツナちゃん」



気絶した白の魔術師にもう一度そっと口付け、黒の魔法使いは其処を去った。




























【 彼に勝りし剣は無し 】






























「あんっの甘党ーーーーーっ!!」
「・・・・・・・・・・・・」

フーフーと息をついて眼の前の机を雷撃で叩き割った少年に、男は明日から何の上で食事しようかなどと暢気なことを考えた。
以前であれば半径1キロ内が炎上していたであろう小規模な招来に、少年はぐっと涙ぐむ。
情けない、情けなさ過ぎる・・・・ッ!


「以前の美しかったお前も良かったが、今の可愛らしいお前も幼い頃を思い出せて俺は嬉しいぞツナヨシ」
「・・・・・俺は全然嬉しくないんだよT世」
のんびりとした声に肩の力が抜け、幾らか冷静になってきた少年は椅子に座った。
いや座ろうとして届かなかった為、何とかよじ登った。
手伝おうとしたT世の手を遠慮したのはなけなしのプライドだ。

これによりまた怒りが沸々と湧いてきた少年はギリと歯軋りした。
何であの甘党がこんなことをしたのか、それはわからない。
腕はいいのに元々ちゃらんぽらんで何を考えてるかいまいちわからない奴だとは思っていたが・・・。

悶々としている少年に、T世は肩を竦めた。
「まさか、お前に喧嘩を売る奴がいるとはな」
「俺もまさか此処までハッキリ売られるとは思ってなかったよ」



今はいない黒魔術師を思い浮かべた青年・・・であった少年は、育ての親でもある祖父に頷いた。
完全に眼が据わっているこの少年の名は沢田綱吉。
世間一般では希代の時期ボンゴレ]世として知られている。

だがしかし、今此処にいる彼を見てそう納得するものは知人以外にいないだろう。
いや、相当に親しいものでなければわからないかもしれない。

天才と名高い魔法使いの青年は、一人の心無い黒魔術師により今は子供の姿に変えられていたのだった。




「あいつ、俺に何の呪文かけたんだ・・・!?」
いつもであれば悪ふざけをするあの黒魔術師の家に移動魔法でもって即座に文句を言いに行くのだが。
それは出来なかった。

綱吉は今、殆どの魔力が制限されている。
今はただの子供と同じ自分が、黒魔術師が住むあの都市まで行くことなどとてもできないだろう。
命が幾つあっても足りはしない。

仕方なしに頼ったT世も、綱吉を見るなりこれは無理だとあっさりと首を振った。
呪いをかけた当人でなければ解けない類だという。
T世が無理だということなど初めて見た綱吉は愕然とした。

「ツナヨシ、俺が話をつけに行ってやってもいいんだぞ」
「・・・それは、駄目だよT世」


綱吉がT世と呼ぶ男の名はジョット。
ボンゴレの創始者でありツナの祖父で育ての親でもある。
とてもそう見えないが軽く人の云十倍は生きているというが、本人も途中で数えるのをやめたというのではっきりとした年齢はわかっていない。

T世はこの国を治めているも同じ人物。
彼が動くということはそれは国の意志でもある。



―――― つまりは相手の国に戦いをしかけるのと同意義、争いは避けられなくなるだろう。



「これは俺が、自分でなんとかしなくちゃいけない問題みたいだから」
「ウム、それでこそ俺のツナヨシだ」





満足そうに微笑んだT世は、すっかり小さくなってしまった自分の愛し子の頭を撫ぜた。
滅多に顔の表情を変えることなどないとされるT世の貴重な笑みに、見慣れているのか綱吉は全く動せず微笑み返す。






「「眼には眼を、歯には歯を。――――愚か者にはそれなりの鉄槌を」」






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今度は、誰をどうする気だ」
小さい頃からの綱吉の教訓であった物騒なことを揃って詠唱する二人に、そこへ帰ってきて綱吉の姿に絶句していたU世は治ったばかりの胃が痛むのを感じた。
































数日後、ボンゴレ]世が旅の同行者を募っているという噂を聞きつけた青年達が集い、綱吉は生涯の友となる剣士と出会うことになるのだが。

・・・まあそれはいずれまた機会があれば、話すことにしよう。













<...fine?>


































『魔法使いパロをお願いします』(ザンツナ、山ツナ)

『魔法剣士の山本×天才魔法使いのツナのパラレルをお願いします。ツナは魔法の天才ですがドジばかり…山本たちはそんなツナに萌えまくり』



という第一回CPアンケネタからいただきました魔法使い話ですvv うん予定と全然違う方向に向かってるんだけど何故やろうっていうかタイトルだけにその名残があるやまもはーいずこ(笑)
そしてザンザス君は掠りもしてないっていうね!!(殴
・・・・万が一続くようでしたらやまもーもザンザス君も出させていただきますb

2009.2.23


あきゅろす。
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