腐れ縁と幼馴染み

ただ隣室に住んでいて両親が似たようなものだから好になるものが一致することが多くてたまたま登下校の班が同じで何故か進学先まで同じというだけでそう呼ばれた。
世間一般ではそれがいいもののように言われている場合が多いようだが自分達の場合は違う。












「お前等幼馴染な、」


気軽に聞こうとして席に寄ってきただけだった彼等のクラスメート達は次の瞬間宙を舞った。


「・・・・・・・・・・・不愉快なんだよテメー等」
ちっと舌打ちして黄金に輝く髪を忌々しげにかきあげたのは野生味を帯びた美少年。

「貧困な発想能力しかない奴等め」
はっと馬鹿にしたように地に寝そべっているものを見下げ足蹴にしたまま漆黒の髪を払ったのは凛とした美少女。




「知りたければ教えてやる。
そんないいものでもなんでもない、コレと俺はただの腐れ縁だ」
「腐って落ちるのを待ち構えてるだけでそれ以外のものは一切何もねえ。 だから、」


静まり返った教室で、似たようなオーラで周りを威嚇した二人は、唸るように言った。
「「二度とそんな不愉快なことで俺の昼飯の邪魔をするな(コラ)!!」」













住んでいる近隣のご近所では幼馴染で付き合っていると思われている二人は、大層仲が悪かった。





























【 腐れ縁と幼馴染 】






























「勘違いされるのが嫌なら一緒にいなきゃいいじゃないですか」
「黙れこのパシリが」
「偉そうに言ってねーで早くコーラ勝ってきやがれパシリが」
「パシリ言うなぶっ!!」

弁当を忘れたということでいつも以上に不機嫌らしい二人に抗議しようとしたスカルの顔面に何かが激突した。
何かと思えば無修正のエロ本だった。
「おら駄賃やるからさっさと行ってこいパシリが」
「いらないですよなんですかコレ!!」
「シャマルがくれた」
「あの駄目教師俺達幾つだと思ってんだ!!」

肩を竦めて座ったリボーンに、丸めたエロ本をギリと握り締めたスカルが呻いた。
それにいいからいけコラと言ってから、既に食べ終わったパンの包みをくしゃくしゃと小さくしながらコロネロが不満そうな顔をする。
「一緒にいるなって言われても、仕方ねえだろ」
「俺が行くとこ向かうとこ全てにコイツがいるんだからな、迷惑甚だしい」
「それはこっちの台詞だコラァ!!」

くあっと喰ってかかるコロネロになんだやる気かと襟足を掴み上げるラルに呆れて嘆息しながらスカルは渋々と立ち上がった。
早くしないと購買のものが売り切れてしまう。











彼等が言い争っている理由にはある共通点がある。


何故いつも行く喫茶店が同じなのか。
何故いつも同じ時間に同じルートで登下校するのか。
何故かそんなことをするのか。


それは、








「あーいたいたー」
「!! ツナ!」

捜したよーとへらと笑った相手に、自然頬が染まった。
「久しぶりだねスカル」
「こ、子供扱いするなツナ!」
「ごめんごめんつい癖で」

そういって優しく頭を撫でてくれたこの人、沢田綱吉21歳こそが、ラル・ミルチとコロネロの仲が悪いのに一緒にいる原因だった。





何故いつも行く喫茶店が同じなのか―それは彼がそこで働いているから。
何故いつも同じ時間に同じルートで登下校するのか―それは彼が丁度来る時間で通り道だから。
何故そんなことするのか―彼が好きだから。





そんな単純でわかりやすいことを、二人がしていることを知る人は殆どいないだろう。
この優しげだがこれといって特徴のない青年は、二人のご近所さんで幼馴染だ。
自分は小学生の時の授業参観で始めて会ったのが最初だが、3人はラル・ミルチとコロネロ先輩二人が生まれる前からの付き合いらしい。
なんでも二人が生まれる少し前、当時中学生だったツナが産気づいて身動きが取れない妊婦を助けたことから始まった縁という。

「ラルとコロネロ、今日学校来てるかスカル知ってる?」
「あ、うん屋上にいるぞ」
「二人だけ?」
リボーン先輩は自分が出る少し前に女性徒に呼び出されて屋上から消えていた。
だからそうだなと頷いてから、後悔した。

「・・・・・そっか」

少しだけ寂しいような、切ないような。

ツナのこの表情を見るのは何度目だろう。
多分これは幼馴染の二人も知らない、俺だけが知っているもの。

「あーじゃあ悪いけど、お弁当渡しといてくれるスカル?」
「・・・ツナは会ってかないでいいのか?」
「うん、邪魔しちゃ悪いし」
小さく苦笑して行ってしまった人の後ろ姿にキュウと胸が締まった。






コロネロ先輩とラル・ミルチの幼馴染でご近所さんでお兄さんで保護者なツナ。
彼はラル・ミルチが好きだった。






しかしいつからか周りがコロネロ先輩とラル・ミルチが付き合っていると有りもしない(というか天変地異が起こってもありえない)噂の為に一歩引くようになった。
元々争いを好まぬ性格もあるが、二人を可愛がっていて、とても大切にしているツナだからそうしてるんだろう。

それを物心付いた時からツナが好きな二人は当然知るわけがなくて。
しかもそれを知っているのはツナに密かに想いを寄せているという、俺スカルだけ。






「・・・・・・・はぁ」

なんだこの救いようのない泥沼。
自分を併せて皆馬鹿だ。


(いや、ツナは抜きにして俺達3人が馬鹿なだけだな)











だから自分もあの二人からパシリにされたって離れる気にはならないのだ。
実際は気の良い二人が俺に酷く当たるのは、俺の気持ちを知っているからなんだけども。












<fine?>
































久しぶり虹ツナ。お笑いにしようとしてたのに、アレ?なんだこの多角関係・・・・。

2009.3.4



あきゅろす。
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