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ウトウトと今にも閉じてしまいそうな少年の肩をそっと揺すり、ナナは愛しそうに呼び掛けた。
『ツー君、ほら見て』
『んー…』
少しぼんやりとした後、ナナの指差す先を見たツナは、閉じ掛けていた大きな瞳をまん丸にして感嘆の声を上げた。
『うわぁ…』
『どう?気に入ってくれたかしら』
『うん!』
ツナは空に瞬いている星のように、眼をキラキラさせ星を見上げる。
『あそこにはね、ツー君のお母さんがいるのよ』
『おかあさん?』
『えぇ。私のお姉ちゃんでもある人よ』
『かーさんのねえちゃ?』
『そう。ツー君のことを何時だって見守ってくれてるの』
『ふぅん?』
『だからね、』
【 星に願いを 1 】
拝啓。
天国にいる母さん。
お元気ですか。
まあ母さんは何処へ行っても楽しく元気にやってるよね。
俺?俺も元気だよ、勿論。
でも今凄く助けて欲しいかな。
どうしてかって?
「…………リボ、」
もうもうと立ち上る煙が薄らいできたことにより、はっきりとしてきたシルエットにツナは呼ぼうとしていた名を途切らせた。
あれ?
「けほっ、あん?
何だその間抜け面は」
「…え?嘘、何で」
「ホントに何だその、?」
リボーンは言いかけた言葉を途中で途切らせ目を瞬かせた。
「おい駄目息子、何か急にデカくなってねーか?」
子供は知らないうちにデカくなっているもんだというが、これは急過ぎではないかと間抜けなことを言うリボーンには構わず、
ツナは目の前の状況についていけない頭を抱えている。
「え!?リボーン!?ちょ、どーしてっ!?」
「だからさっきから何驚いてんだよてめーは?」
呆れたように見上げてくる義理の養い親は、ふと自分の手を見て暫し沈黙する。
「…あ?」
ペタリと自分の体を触る。
それを期にペタペタペタと高速で自分の体を確かめるように触れる。
リボーンの顔は、訝しげなものから段々と蒼褪めていき、最終的には悲痛なものに変わった。
「…っなんじゃこりゃあーっ!?」
「お、落ち着いて松田優作さん!」
「んな分かりにくいボケかましてる場合かこの愚息がああああっ!!鏡!鏡寄越しやがれっ」
「あ、うっと、えっと、はい!」
何処からか取り出した鏡を引っ手繰るように受け取り覗き込んだリボーンは変わり果てた己の姿に茫然とする。
「う、そ。だろ…。マジかよ」
「リボーン…」
流石に気の毒になってなんて声をかけようかとツナは戸惑う。
気に食わないし、常々いっぺん何処かへ埋まればいいと思う程モテモテの義親だ。
さぞかし今の自分のプリティフェイスな自分の姿を見たら落ち込むだろう。
そんなツナの心配などわかるわけもないリボーンは、震える手でそっと自分の頬に触れ、ほうと嘆息した。
「俺超可愛い…」
「滅茶苦茶ポジティブー!!
っていうかあんたホント、ナルシストだな!」
うっとりと自分に見惚れるすっかり小さくなったリボーンにツナは突っ込む。
「お父様に向かってあんたとはなんだ。
それに俺は謙遜も過剰評価もキライなだけだゾ」
あるがままを言っているだけだと小さくなってもニヒルに笑う養父にツナは引き吊り笑いをした。
(どうして、こんなことになったんだ・・・)
俺はた普通に平凡に真っ当に正直に生きてきただけなのに。
いや確かに、今日家出しようって決めてたけどさ。
拝啓母さん。
義父親が突然赤ん坊になりました。
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