テスト2

「やぁ。お帰り、綱吉」
























待ち構えていた兄に、ドアノブを思わずもとに戻し、見なかったことにしたくなる。





「・・・・・・・・・た、だいま、帰りました、雲雀、兄さん・・・・・」
「それで、どうだったんだい」





いきなり核心ですか。
無駄だと知りつつしらばっくれようとしてみる。





「なにがで、」
「テスト結果」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どうぞ」





・・・・・・・・・・わかってたよ、無駄な足掻きだって。

震える手で返されたズタボロな答案を渡す。
王に税を献上する農民気分だ。

ざっと全てに目を通し、兄は微笑んだ。





「ワオ!いつも以上だね」

「ごめんなさいいいいいいいっ!!!」





ひいいいいいい!!笑顔で怒っていらっしゃるよーーーーーーーっ!!


ガタガタと震えながら玄関で正座を始めた俺に兄が優しく言う。





「別に怒ってないからこっち向きなよ綱吉」





声が優しい分恐ろしいです雲雀兄さん。

絶対咬み殺す気満々だ。
産れた時からの付き合いだから、それは見なくてもわかる。





「綱吉、僕の言うことが聞けないの」
「いえ、そういう、わけでは」





ただ貴方が怖いだけなんですお兄さん。





「綱吉・・・」





そっと頭に触れられ、身体がびくりと震える。
自然に涙が滲んでくる。





「そんなに僕が怖いかい」





はい、とっても。
とは言えないが、身体の震えは止まらない。
この間雲雀兄さんを前にして硬直した先輩の気持ちがよくわかった。





「・・・・綱吉にそこまで怯えられると、傷つくね」
「え!?」




寂しそうな声音に思わず顔を上げる。
そんなつもりは全然なかったから。





「すいません雲雀兄さっ、わっ!?」





さっきよりも近くにあった整った顔に思わず仰け反って尻餅を付く。





「やっと、こっち向いたね」





俺を引き起こしながら、雲雀兄さんが悪戯っぽくクスクスと笑う。
顔が赤くなる。





「・・・・怒って、ないんですか?」
「ん?」
「テストのこと・・・」
「だから怒ってないっていっただろう」





額と額をくっつけて、目線を合わされる。





「・・・・・・・雲雀兄さん、俺もうそこまで子供じゃないですよ」
「綱吉は昔も今もこれからもずっと僕の可愛い子だから関係ないよ」
「・・・・・・・」





幼い頃から俺が泣くと雲雀兄さんはこうする。

そうすると俺が泣き止んだから。


切れ長だが綺麗な兄さんの瞳を間近で見れるので、こうされるのが好きだったんだろう。


もうそんな年でもないのにとも思うが、

好きなのは今も変わらないので、見惚れている内に結局いつも何も言えずに終わる。











「綱吉にはね」
「・・・・・・・・・はい?」










ぼーっとしていたので言われたことがよくわからなかった。





「教え方が悪かったアレが悪いよね」
「・・・・・・・・」





それは、もしかしなくとも





「骸が、ですか?」
「当然でしょ」





いやいやいやいやいやいや、
何で学年トップの品行方向性の弟に教えて貰って駄目駄目だった兄貴の成績の責任が弟に?





「雲雀兄さんそれは、」
「いいんだよ、わかってるから。
どうせ骸が綱吉にセクハラ行為ばかりして勉強に集中できなかったんでしょ」





いや、実力です。
ていうかセクハラって・・・





「家族でセクハラも何もないですよ、アレぐらい」
「アレぐらいって、何」
「・・・・・・・・・・」





・・・・しまった。
だらだらと汗が流れる。

不自然に目を逸らしてみる。





「え、いや別に」
「綱吉」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」





こういう時、骸ばりに笑顔で嘘がつけたらいいのに。
顔に直ぐ出る自分が恨めしい。





「何処を触られたの」
「触られたんじゃなくて舐めら、・・・・・あ」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「何、今舐められたって聞こえたんだけど。
気のせいだよね」
「は、はい」

「・・・・・・・・・・・・」





いやあああああああああああ!!
雲雀兄さんが咬み殺すも言わないで立ち上がったーーーーーーーーー!!!
骸が、殺され!





「只今帰りました」





だからお前ももう何でそんなタイミングいいのーーーーーーーーー!?



只今じゃなくてもっとゆっくりでよかったのに!!
この時間厳守いい子ちゃんめっ!!

お使いから帰ってきた(謝る骸にお使いに行ったら許してあげると押し付けた)骸に頭を抱えそうになる。

そんな俺を見て嬉しそうに骸が近づいて来る。


こなくていいからーーーーーー!俺の後ろの鬼神が見えてないのお前!?





「あ、綱吉兄さん、お金が足りなかったのでお米は5kgを買ってしまったんですが、」





米はいいからーーーーーーーー!!





「骸!いいから逃げろ!」
「綱吉兄さんとなら何処へでも」
「戯言とか今はいいから本当にもうーーーーー!!」





こんな時ばっかり真顔になるないいから手は握るな自然な手付きで腰を抱き寄せるな−−−−!!

悲鳴のような声を上げる俺の頬を掠り、棒状のものが骸がさっきまでいた箇所を通り過ぎ、壁に突き刺さる。




うわーい雲雀兄さん愛用のトンファーだー・・・





「おかえり、咬み殺される為にわざわざ帰って来たのかい」
「ええ、貴方の命を刈る忘れ物をしたので」





無駄に強く握っている骸の手を振り払い雲雀兄さんを見上げる。





「雲雀兄さん!
テスト悪かったのは俺の所為ですから!」
「教え方が悪いんだよ」
「いつも教えて差し上げてるのは貴方でしょう」
「最低赤点+1くらいの点数にはなるようにしてるよ」
「ホントスイマセンもう勘弁して下さい!」





この人達本当は俺虐めたいだけじゃないの!?





「綱吉、安心して。勉強はいつも通り僕が教えてあげるから」
「綱吉兄さん、これからは僕がわかるまでつきっきりで教えて差し上げますから」





全然似てない兄と弟達の綺麗な笑みと共にゴングが鳴らされた。





「いやああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!」





































「ん?今なんか音しなかったか?」
「また沢田さん家じゃねえか?
あ、武その皿取ってくれ」
「はいよ。
今日テスト返却日だったしな〜」

ツナは大変なのな〜と、ご近所の寿司屋の息子でツナのクラスメイトは振りかぶりながら笑った。


























次男のテスト結果がでた次の日、沢田家いつも消えうせる。
それはご近所の常識。


























































<fine?>





































「いい加減にしてよ二人共!」

やっとこさ、一時的に両者を止めた次男は怒鳴った。

「今度こそ家がなくなるだろーーーーーーーーーーーっ!!!」
「・・・・・・・・・・兄さんが気にするのはそこですか、流石に傷つきました」
「ぷっ」
「・・・ッ笑いましたね雲雀恭弥!!」
「やめろって言ってるだろーーーーーーーーーーー!!!」














夜中を過ぎてもはた迷惑な喧嘩は終わらない。











































あきゅろす。
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